『デブサミ2017』に参加して感じた開発集団のチーム論

『デブサミ2017』に参加して感じた開発集団のチーム論

社会人でありながらにして究極の自由人を目指し、今日も自由に行動しているCTOの下駄(弓削田)です。

先日、目黒雅叙園で開催されていた『Developers Summit 2017(通称、デブサミ)』に2日間両日参加してきました。僕が思う「自由人」の定義として、参加したいと思ったイベントには参加しなくてはいけないのです。
“~しなくてはいけない” の時点で一般的な「自由人」の定義から離れていますが、あくまでも僕が思う「自由人」の定義ですので、ここは “自由” にやらせていただきます(笑)

僕にとって『デブサミ』への参加は、三年連続三回目の勝手知ったるイベントです。

毎回、多数の企業が自社サービスを紹介することはもちろん、普段使用しているツールを紹介してくれたり、エンジニアリングの技術を惜しげなく披露してくれたりと、かなり得るものが多いです。各社のプレゼンテーションも趣向を凝らしており、飽きることなく他社の話を聞け、毎年 “新たな知識・情報” をおみやげに会社に持って帰ることができます。
『デブサミ』開催時期が近づいてくるだけで胸躍る、そんな良いイベントなのです。

ちなみに、登壇者に自分と同じ「自由人」のニオイを感じてしまうと強い親近感を湧いてしまい、どうにも名刺交換がしたくてたまらなくなります。
「自由人」は「自由人」を呼ぶということなんでしょうね(笑)

今年の『デブサミ』において、僕が参加した講演を大別すると、次の3種に分けられます。

  • 「サーバサイド技術」系の講演
  • 「最新技術」系の講演
  • 「エンジニアのモチベーション」系の講演

今回は上記3種を2日間で10以上の講演に絞って(絞りきれていない?)参加してきました。

ちなみに「会社紹介」系の講演なども用意されていたのですが、エバンジェリストさん達の営業トーク色が強く、あんまり気乗りしなかったということで回避しています。
なんたって僕は「自由人」ですからね!

下駄(弓削田)的「サーバサイド技術」系講演での私感

昨今ではAWSを使って簡易的にサービス展開を行うベンチャーが多い中、我々ショーケース・ティービーでは、未だにオンプレ路線を突っ走っています。
言い訳に聞こえてしまうかもしれませんが、自由にハードウェアをいじることができるという意味も込められていますが……。

AWSを始めとするクラウドサーバを利用する会社の多くは、サービススタート時と運用時のコストの手軽さが話題の中心になります。しかし、トラフィック量が多い会社の場合となると、やはりオンプレ運用は捨てがたいといった判断を下している印象を受けます。

弊社の場合、コストのリクープラインは100クライアント、デイリーで10万PVぐらいであると計算しています。
提供サービス内容によって値が異なるとは思いますが、こうした数値でボーダーラインを定めておくことで、「オンプレ運用→クラウド運用」や「クラウド運用→オンプレ運用」といった切り替えの分岐点やタイミングも明確にできるというものです。
それらの数値を基に、ショーケース・ティービーではオンプレ運用をし続けているのです。

サーバサイドもプログラミング言語系と同様に、日進月歩の勢いを感じる部分があります。つまり、情報のインプットを怠ると、すぐにトレンドから取り残されてしまいます。

エンジニアとしては最新技術が使えれば、自ずとモチベーションも上がるということもありますが、今まで苦労していた作業が新たなサーバ技術やサービスなどにより自動化されたり、それにより作業時間を短くしてくれたりするわけです。痒い所に手が届くとは、まさにこういうことなんだろうなと思いました。

なお、今回の講演では「監視」に関するサービス紹介や「Nodejs」の最新動向、「SSLセキュリティの最新動向」などの話を聞くことができました。
最新トレンドをインプットできたという点では非常に参考になったと言えるのではないでしょうか。

下駄(弓削田)的「最新技術」系講演での私感

「H2MD」というスマートフォンで手軽に見ることができる “アルファチャンネル付きの動画コーデック技術” が紹介されていました。

これはJSで独自エンジンを作ったことで実現した技術であり、専用エンコーダで変換したデータを通常のウェブページで再生させることができるというものです。便利さと利便性の高いエンジニアリングを感じました。
<参照:H2MD『HTML5向けムービー再生ライブラリ』>

この技術はJSが動作し、かつHTML5に準拠しているウェブブラウザであれば、それだけで動作担保ができている……。直感的にこの基本仕様が把握できたので、非常に汎用性の高い製品開発をされていることに感心させられました。
また、広告展開やウェブ上のプロモーションなどで有効活用できるイメージも簡単に湧きますし、今後の展開が楽しみな技術です。

こうした独自技術に舵を切った企業、そしてそれに応えたエンジニア集団は、当然ながら “自由” な発想の持ち主たちの集まりなのでしょうね。

下駄(弓削田)的「エンジニアのモチベーション」系講演での私感

『デブサミ』に限らず、「エンジニアのモチベーションコントロール」をテーマとしたセミナーは大人気です。

過去の『デブサミ』でもいくつかこの手のセミナーに参加していますが、共通して言えることは「講演者はいわゆる “アゲアゲ↑↑” の人が多い」ということ。強靭なメンタルの強さなくして “アゲアゲ↑↑” にはなれないものなので、そもそも講演者自体がポテンシャルを持ち合わせているのかもしれません。
ただ、“アゲアゲ↑↑” エナジーを享受することができるのであれば、こういったセミナーも意義があるのではないでしょうか。

今回興味深かったのは、データサイエンティストの方が語る「WEBエンジニアがAIエンジニアに転身するために、一体何をすべきなのか」といった内容の講演で、自社エンジニアの事例を基にご紹介されていました。
まったく考えていなかった部分だったため、その着眼点自体も非常に参考になりました。

エンジニアだって社会人でありビジネスマンです。
なのに、毎日ヨレヨレのチェック柄シャツを着て、いつも髪型はボサボサ。挙句の果てには時間にルーズ……。
こんなビジネスマンとは呼び難い、浮世離れしたエンジニアって多くないですか?
見るからに「自由人」の風貌と言えますが、こうした「自由人」ほどエンジニアとして優秀と評されることが多いということも忘れてはなりません。

僕の中では、名の通った大学の研究部門の有名教授などにこうした傾向が強いという感覚があります。
彼らの思考はエンジニアリング一本に絞られており、それ以外のことは日常生活ですら研究対象外として、無駄なものであると処理しているのではないでしょうか。
これがもし正しければ、風貌や生活習慣そのものが「自由人」化するのも納得できるというものです。

もちろん、有能なエンジニア全員が「自由人」とも限りません。
ファッションに気を配って清潔感を出し、スタイリッシュさを演出する優秀なエンジニアもいます。少し昔の話にはなりますが、割烹着を着てメディア露出をしていた某細胞の女性研究者などが好例かもしれません。
それでも、どちらかというと「自由人」めいたの方が一般的に有能である印象は拭いきれませんね。

上記のような考えさせられるセミナーや、もはや “自慢話” とも取れる「エンジニアのモチベーション」系セミナーもいくつが受講し、果たして新たなインプットとして自社に持ち帰ることができるのか精査することにしました。そこで「チーム体制の重要性」を改めて考えてみました。

チーム体制が整っている方が、作業効率改善もリスクヘッジもでき、組織としても安定が得られるイメージがあります。
それでは何故、開発現場では、チーム体制が作りきれていないケースがあるのでしょうか。

・チーム体制が作れない理由①「稼働サービス数が、エンジニアの人数を上回っている」
これは新たなサービスリリースと開発リソースの増減によりチームに十分なリソースが与えられない場合です。
当然ながら採用活動も大きな課題なのですが、古くて使われていないサービスや、近々使われなくなるであろうサービスに対し、運用コストの掛からない形にシフトチェンジする取り組みも必要になってくるでしょう。

・チーム体制が作れない理由②「チーム化できるグループ体制が構築できない(リーダー不足)」
これも組織課題でよく挙がるケースです。リーダー不在のチームを作ってしまうことほど、リスキーな状態はないでしょう。そのためチームを組織する行為に踏み切れていないのです。

・チーム体制が作れない理由③「社内の技術がニッチ技術」
各種言語をネイティブで書かなければいけなかったり、独自の負荷分散でのプログラム構成を組んでいるがゆえに、サービス専任の開発者になってしまいます。また、教育体制が整っていない状態だと、新たなエンジニアの成長が見込めていないというのも課題です。

チーム体制化については、これまでも社内でも幾度となく議論されている課題です。チーム体制を自由に構築・解体ができる組織構成は必要だと感じました。

下駄(弓削田)的『デブサミ・オブ・ザ・イヤー』の講演とは

今年の『デブサミ』で一番面白かった演目は、株式会社えんがわの奥山社長のプレゼンテーションでした。
<参考:株式会社えんがわ 企業サイト

『エンジニアが起業する際に気をつけること』というテーマだったわけですが、少しフワフワした雰囲気で進める話の中に、この方の「エンジニアポリシー」と「プロジェクトに対するエンジニアの関わり方」が非常に新しく聞こえて参考になりました。
もちろん、奥山さんも間違いなく「自由人」でしょうね…。僕の名刺交換欲も俄然高まります!

講演内容をかいつまんで説明すると以下のような感じでした。
「ウォーターフォール型のプロジェクトは、委託側と受託側での折り合いをつけるのが難しい。初回設計の段階で入っていなかった仕様についは、一度開発を着手してしまうとローンチするまでは変更しないというルールになってしまうため、現場ではありとあらゆる仕様を初期段階に詰め込もうとする思考に陥ってしまう。結果的に無理な設計が横行することになりかねない。」と、実際にあった体験談をもとに話されていました。

また、「一方のアジャイル方式ですは、随時設計内容の見直しが行えるという点も含め、あらゆる事象を柔軟に対応することが可能である。このやり方に切り替えるだけで、委託者も受託者も全員の負担が減るため、Win-Winの関係性が築ける手段である。」とウォーターフォール型特有の課題に対しての解決法も提示してくれました。

いまさらですが、改めて “アジャイルの本質” を教えられた気がしました。
なんとなく、ゴールを見えづらくしてしまいがちなアジャイル開発ですが、品質管理の現場や各種作業においても、アジャイル思考って通用するのではないかという新たな発見がありました。
これって自社のチームビルディングでも使えるネタですね!

各講演で頻出したキーワード「マイクロサービス化」の理想と現実

今回、いくつかの講演で「マイクロサービス化」の話がよく出ていました。

先にお伝えしたとおり、ショーケース・ティービーでは取り扱うサービスの数が多く、各サービスで担当開発員が独自に開発業務を進めているため、サービス間で横のつながりが希薄になってしまうケースもあります。
こうした商品のブランディングも踏まえて、すべての商品(またはグルーピングされた商品)においては、機能を細分化した単一のサービスとし、その組み合わせによって商品構成が形成される、いわゆる「マイクロサービス化」を検討すべきなのかもしれません。

他サービスでも「マイクロサービス化」された各種機能を使いまわせるため、開発コストやメンテナンスコストを減らすことも可能でしょうし、開発側・運用側で都度問題になり得る、仕様の明確化なども実現できるといったメリットは多大なものとなるでしょう。
ただし、大きな構成の変更は入念に練られた設計が必要となるでしょうし、大規模な対応時には俯瞰でサービスを横断して状況把握できるプロジェクトマネージャーの存在も欠かせません。

「マイクロサービス化」には大英断が必要となります。しかし、時にはこういった思い切った舵切りができるかどうかが、サービスの進化であったり延命化に役立つのもしれませんね。

雑記:IT系イベントに参加して思うこと

今回の『デブサミ』も非常に満足する内容でした。
やはり僕も「自由人」とはいえエンジニアのはしくれ、最新技術やチームマネジメントの話になるとウキウキしてしまうものです。

しかし、『デブサミ』に限らず、IT関連のイベントにおいても参加証発給や受け付けといった諸々の手続きがアナログ状態なのは納得ができないものがあります。実際に今回のイベントにおいても、現場のパニック感が半端ない印象を受けました。
講演内容の先進性に反して、会場の前時代的な仕組み。このギャップが「なんだかんだ言ってもまだまだじゃん」と興ざめさせてしまう場合もあるのです。様々な課題に対してITが解決できるということを謳ったイベントですので、まずはこの眼の前の課題解決をITでやっつけてほしいと思っています。

イベント全体が先進的になるように期待を込め、いくつかのアイデアを書き連ねてみます。

・イベント自体の先進化期待アイデア①「受け付けフリーパス」
今となっては大多数を占めるであろうスマートフォン所持者に対して、ビーコン認証でゲート通過だけで参加登録処理を行う。
※ただし、イベント主催者側としては「名刺取得」という超重要ミッションもあるだろうが、そこはデジタル名刺(または自分でスキャン)という方式で情報を取得

・イベント自体の先進化期待アイデア②「会場座席ランダム指定席方式」
手持ちのスマートフォンで座席番号が講演会場時にセットされ、その指定場所に着席するだけにする。これにより、固定のシートを占拠する方々への対策も可能。ただし、グループ参加されている方々のことも考慮したシステム構築が必要。

・イベント自体の先進化期待アイデア③「自動アンケートフォーム」
IT関連セミナーに限らずイベント後に収集されているアンケート。筆記用具を持ち合わせていない参加者も多数おり、係の人に借りたりしているケースもチラホラ。このアンケートを入力フォーム化し、その場ですべての人のコメントを取得できれば、イベント終了時にメールにてリマインドする必要がなくなる。また、TwitterをはじめとするSNSとの連動が図れば、他の参加者の意見も目にすることができ、アンケートの記入意欲も自ずと枠というものだ。

いかがでしょうか。
各イベント主催者、事務局の方々がこの記事をご覧になり、イベント内にある課題を認識いただければ幸いです。

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