【GW直前企画①】主演“人工知能”賞はどのデストピア映画に輝く!?

【GW直前企画①】主演“人工知能”賞はどのデストピア映画に輝く!?

『デストピア』とは「ユートピア(=理想郷)」の反語である「ディストピア(=暗黒郷)」と「デス(=死)」を掛け合わせた造語であり、堕落した世界を指します。

小説であれコミックであれ、近未来のデストピアを描く際には、アンドロイド(人工知能と人間を模した機械の体を持つもの)の存在は必要不可欠だったりします。
アンドロイドは最先端技術の結晶であると同時に、血の通っていない思考回路を持つ “冷酷かつ残忍” な大衆イメージも兼ね備えているため、これほど退廃的な世界を描くのに好都合なシンボルもそうないのでしょう。

今回は『デストピア』の世界観を描く映画に着目してみました。
“デストピアの重要なポジション” として描かれ、かつ “人工知能を有するアンドロイド” たちが出演する映画を見ていきましょう。

2017年公開予定の『デストピア』なAIたち

2017年はデストピアな映画に限らず、リメイク作が非常に多いのがハリウッド映画界の特徴です。
「莫大な資金調達=確実にヒットが見込まれる企画=旧作のネームバリュー依存」といった公式は、中々抜け出せそうにもありません。

ただし、前作が10年以上も昔の作品ということもあり、元々の世界観を損なうことなく、新時代のエッセンス(時代考証など)を取り入れたものになっているのではないでしょうか。

今回の映画紹介における主役はあくまでも “アンドロイド”。
まだ未公開ということもあり主演アンドロイドの活躍ぶりはご紹介できませんが、前作での怪演っぷりも含めてご紹介していきます。

ノミネートNo.1『ブレードランナー 2049』

日本公開予定日:2017年10月27日
前作の主演アンドロイド名:レプリカント

言わずと知れた1982年公開の名作『ブレードランナー』の続編が本作になります。

前作で主人公が対峙したのは「レプリカント」と呼ばれるアンドロイドです。「擬似感情は感情か? 感情を持つものは人かモノか?」という今となってはベーシックなテーマを取り扱っていますが、日本公開当時はその革新的すぎる設定故に大コケし、すぐに打ち切りとなったという経緯があったりします。
しかし時代を経てその突出した内容が評価されるようになり、今ではSF映画の金字塔として語り継がれてるようになったほどです。

前作『ブレードランナー』の不良のレプリカントが徘徊する繁華街の雰囲気は、まさにデストピアそのもの。また、“自己を人間と思い込んだレプリカント” と “生身の人間” とを判定するための心理テストのシーンは哲学的でもあり、以降のアンドロイドSF映画の定番にもなりました。
なお、原作であるSF小説「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」も傑作です。

今作『ブレードランナー 2049』の詳細はまだ明らかにされていませんが、製作総指揮は前作監督であるリドリー・スコット、主演はこれまた同様にハリソン・フォードが演じるので、前作同様「人工知能の感情」と「命の定義と頽廃」がテーマになるのではないかと思われます。

ノミネートNo.2『ゴースト・イン・ザ・シェル』

日本公開予定日:2017年4月7日
アニメ映画版の主演アンドロイド名:タチコマ、オペ子など

士郎正宗のコミック『攻殻機動隊』を原作とし、テレビアニメやOVA、小説、ゲームなどメディアミックスされた名作シリーズです。メディアミックスの中にはアニメ映画版も何作かありますが、今作が初の実写映画化となります。

今作でもAIは登場しますが、テレビアニメ版と異なり自我を持つアンドロイドの登場は少ないようです。多くは「操り人形としてのアンドロイド(AI)」が基本となっています。
なお、日本語アニメ版では「タチコマ」や「オペ子」といった自我を持つキャラクターもいましたが、徐々にアンドロイドとバイオロイドの境界が曖昧になっており、今作のハリウッド版で “アンドロイド” として登場するか不明です。

そもそも、テーマはアンドロイドそのものではありません。
デジタル化された脳(電脳化)とそのすべてのデータをバックアップする巨大なネットワークのバックボーンの中で意識が混じり合った場合、果たして自我を保ち続けることができるのか。そしてデジタル化された記憶とは何か……といった壮大な問いかけが根底にあるのです。
これはある意味、人工知能(AI)のテーマでもありますね。
<bitWave関連記事『集合知の「AI」は人を超えられるのか?』>

ノミネートNo.3『エイリアン:コヴェナント』

日本公開予定日:2017年9月公開予定
前作の主演アンドロイド名:デイヴィッド8

映画『エイリアン』シリーズにアンドロイドの存在は欠かせません。
1作目「宇宙船乗組員の生命よりも、本社からの命令を優先する冷徹さ」とその正体のバレ方、狂気じみたシーンがトラウマ(?)となり、2作目以降アンドロイド探しと、こいつは「敵か?味方か?」という推理も映画の楽しみの1つになってました。

そのエイリアンシリーズに、これまたリドリー・スコット監督の手で新作として登場。ここでのテーマの一つも「アンドロイドは誰だ!?」です。果たしてアンドロイドは人類の敵なのか、味方なのか……ということなのでしょうか。

ちなみに本作もシリーズ化を予定しているらしく、今作はあくまでも三部作の第一章なんだとか。しかもすでに第二章の脚本が完成しているとリドリー・スコットが口を滑らせていました。壮大っすね……。

<※補足:エイリアンシリーズの時系列>
【前日譚】『プロメテウス』(2012年公開/リドリー・スコット監督)
【前日譚】『エイリアン:コヴェナント』(2017年公開/リドリー・スコット監督)
【前日譚】『エイリアン:コヴェナント2(仮題)』(公開未定?/監督未定?/脚本完成とのウワサ)
【前日譚】『エイリアン:コヴェナント3(仮題)』(公開未定?/監督未定?/三部作とのウワサ)
【本 編】『エイリアン』(1979年公開/リドリー・スコット監督)
【本 編】『エイリアン2』(1986年公開/ジェームズ・キャメロン監督)
【本 編】『エイリアン3』(1992年公開/デヴィッド・フィンチャー監督)
【本 編】『エイリアン4』(1997年公開/ジャン=ピエール・ジュネ監督)
【本 編】『エイリアン5(仮題)』(近日撮影?/ニール・ブロムガンプ監督)
※スピンオフとして『プレデター』絡みの映画もありますが、ここでは割愛

名作・迷作ぞろいの旧作『デストピア』なAIたち

アンドロイドが登場するデストピアなSF映画は今に始まったわけではありません。上記には挙げていない名作デストピア映画もザックリとご紹介いたします。
B級映画がちょこっと混ざっているのはナイショですw

1927年日本公開『メトロポリス』

主演アンドロイド名:マリア(労働者階級の娘マリアのコピー)
監督名:フリッツ・ラング
製作国:ドイツ製作

公開年を見ていただければお察しいただける通り、本作はサイレントのモノクロ映画。
階級社会の矛盾を説く人間「マリア」とその労働者階級の団結を崩壊させるために権力者階級から送り込まれたアンドロイド「マリア」の構図は以降のSF映画の基盤となり、そして当時の社会情勢を反映したストーリーはデストピア以外の何者でもありません。

1968年公開『2001年宇宙の旅』

主演アンドロイド名:HAL9000
監督名:スタンリー・キューブリック
製作国:イギリス・アメリカ合作

あまりにも難解なストーリー、そしてセリフや説明を極端に省いた映画であるため、見る人によって解釈が異なるという稀有な映画です。それでも公開年を疑うほどの圧倒的な映像美は誰もが感動を覚えます。人工知能「HAL9000」が自身の意志で乗組員の殺害を決行するくだりは、人間と人工知能の決して相容れない関係性を描くことに成功しています。

1973年公開『ウエストワールド』

主演アンドロイド名:ガンマン406号
監督名:マイケル・クライトン
製作国:アメリカ製作

1984年公開『ターミネーター』

主演アンドロイド名:T-800、スカイネット
監督名:ジェームズ・キャメロン
製作国:アメリカ製作

1988年公開『チェリー2000』

主演アンドロイド名:チェリー2000型
監督名:スティーヴ・ディ・ジャーナット
製作国:アメリカ製作

日本未公開のSF冒険アクション映画。なんと設定は2017年、つまり、今見れば現代劇になっちゃいますね。肝となるアンドロイドは高性能ラブドール。ストーリーは故障した「チェリー2000型」のパーツを探し求めて大冒険するというもの。地球のため、民衆のため……といった作品ではなく、私利私欲といった世界観の方が、かえって現実的なのかもしれませんね。。。

1990年公開『クラス・オブ・1999』

主演アンドロイド名:ロボット教師3体(コナーズ、ブライアン、ハーディン)
監督名:マーク・L・レスター
製作国:アメリカ製作

ロボット工学者でもある学校長が軍用ロボを転用した「アンドロイド教師」の導入を決定……。正真正銘のB級映画です。スクールバスが装甲車、生徒は武器携帯。迎えるアンドロイド教師はロケットランチャーやドリル(笑)で生徒たちを襲います。世界観が学園モノのはずなのに、ド派手な爆破シーンは満載。挙句の果てには校舎も消失……。エンタメ視点だけなら傑作です。

1995年公開『スクリーマーズ』

主演アンドロイド名:スクリーマー
監督名:クリスチャン・デュゲイ
製作国:アメリカ・カナダ・日本合作

1999年公開『マトリックス』

主演アンドロイド名:コンピュータ
監督名:ラナ・ウォシャウスキー/リリー・ウォシャウスキー
製作国:アメリカ製作

1999年公開『アンドリューNDR114』

主演アンドロイド名:NDR114(のちにアンドリューと呼ばれる)
監督名:クリス・コロンバス
製作国:アメリカ製作

人間になりたいと考えるようになったアンドロイド「NDR114」の200年に渡る物語を描いた映画です。葛藤の末に人工皮膚や人工臓器に換装し、より人間に近づくことに成功。人間の心や神経なども手に入れたものの、所詮 “不死” の身体。国家として「人間」であるが認められなかった「アンドリュー」は、最終的に寿命を手に入れた。ちょっと物悲しいアンドロイドの一生が見れます。

2001年公開『A.I.』

主演アンドロイド名:ジゴロ・ジョー
監督名:スティーヴン・スピルバーグ
製作国:アメリカ製作

2004年公開『アイ, ロボット』

主演アンドロイド名:NS-5、VIKI
監督名:アレックス・プロヤス
製作国:アメリカ製作

2010年公開『ロボット』

主演アンドロイド名:チッティ
監督名:シャンカール
製作国:インド製作

2010年公開『トランセンデンス』

主演アンドロイド名:PINN
監督名:ウォーリー・フィスター
製作国:イギリス・中国・アメリカ合作

2011年公開『EVA <エヴァ>』

主演アンドロイド名:エヴァ
監督名:キケ・マイーリュ
製作国:スペイン製作

2014年公開『her/世界でひとつの彼女』

主演アンドロイド名:サマンサ
監督名:スパイク・ジョーンズ
製作国:アメリカ製作

主人公が人工知能の音声に恋してしまうというストーリー。実体モデルのないAIへの感情移入という点では、音声認識アシスタントが普及し始めた現代社会において、かなりリアリティのある話なのではないでしょうか。主人公が離婚したことで浮き彫りになる孤独との関わり方、そこで隙間を埋め合わせてくれる「サマンサ」の存在。かつてbitWaveでご紹介した『Gatebox』がもたらすであろう世界を考えさせてくれます。
<bitWave関連記事『さすがに怖すぎる「疑似恋愛」ガジェット』>

2015年公開『チャッピー』

主演アンドロイド名:チャッピー、ムース
監督名:ニール・ブロムガンプ
製作国:アメリカ製作

起動させたばかりの人工知能搭載ロボット「チャッピー」は純真無垢そのものの存在であったが、ストリートギャングに拐われたことで、ギャングとしての生きる術を学習していく。「チャッピー」のバッテリー残量とともに変化していく心模様を描いた映画です。AIにまつわる映画のほとんどが “できあがった” AIとして登場しているが、本作はbitWave上でも再三取り上げている「機械学習」のあり方も含むものなので、非常に興味深く見ることができます。

2015年公開『デッドシティ2055』

主演アンドロイド名:ケリー
監督名:ブライアン・A・ミラー
製作国:アメリカ製作

2015年公開『エクス・マキナ』

主演アンドロイド名:エヴァ
監督名:アレックス・ガーランド
製作国:イギリス製作

ヨーロッパではカルトヒットした名作。本bitWaveでもフランクが取り上げてましたね。あらすじに関しては彼の原稿をご一読頂いたほうが早いでしょう。
<bitWave関連記事『【映画】人工知能がテーマ「エクス・マキナ」は傑作!ぜひ観て!』>
極めてベーシックかつ丹念に善悪の区別がないAIを描いています。“人の心” を持つと判断されながらも “人” として扱われなかった「エヴァ」。そもそも “人の心” とは何であるのかを本編で語られることがないだけに、色々考えさせられる作品となっています。

2016年公開『モーガン プロトタイプL-9』

主演アンドロイド名:モーガン
監督名:ルーク・スコット
製作国:アメリカ製作

人工知能のポジショニングは “序盤に限り” 、上記の『エクス・マキナ』に近い展開となっています。しかし、話が進むに連れ、アクション中心のサイエンスホラーと変化。純粋な人工知能というより、科学的な人工的アプローチで生み出された子供が主人公のストーリーとなっています。人工知能を並外れた能力を持つものとして描いておらず、機械的な『エクス・マキナ』に対して、こちらは生物的。人間と人間型生命体との違いと共通点を探るというテーマは王道モノですが、人間的な分だけ妙にリアリティを感じさせます。

いかがでしたでしょうか。
新作・旧作を含めて「AI」をテーマにした映画は常に活況です。そして、映像技術の進化によって表現方法も豊かになっている上に、現実社会でも「AI」をテーマにした話題が頻出しているので、よりリアリティを持って鑑賞することができます。
このゴールデンウイークはぜひ、「AI」漬けの映画鑑賞としてみてはいかがでしょうか?

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