インシデントをレベルで分類することの重要性

インシデントをレベルで分類することの重要性

どうも、こんにちは。
南の国にはない紅葉を見たくて、自宅周辺の小さな公園巡りをしておりました。やんばるです。

年末年始は気が緩んでミスが多くなってしまうことが多い時期ではないでしょうか?
「忙しいから…」を言い訳にして済ませるのではなく、しっかりミスを調査した上で再発防止策を練ることが本当に大切になってきます。

ちなみに私は前職で品質管理委員会を経験していたため、そこでの取り組みについて一部抜粋した上でまとめてみました。その中でも、特に役立つであろう『インシデント&アクシデントレベル表』を今回ご紹介させていただきます。

そもそも品質管理の目的とは

一言に「品質管理」といっても、どのようなミッションがあるのでしょうか?

  • サービスの品質向上
  • クライアントへの信頼性向上
  • 利益上昇
  • 工数削減
  • 社員への品質管理意識向上……etc

最大の目的は上記筆頭に挙げた『サービスの品質向上』になります。
ただ、『サービスの品質向上』だけが守られていれば良いというわけでもなく、他のミッションだってかなり大切だったりもします。
しかし、個人での品質管理意識が欠如していると、結果的にどれも叶いません。

品質管理の実務とは

では上記のミッションを完遂するために、「品質管理」は具体的にどのような実務を行っているかと言うと、業界・業種に差はあれど、以下の8つに大別されると思います。

  • インシデント&アクシデントレベル表の管理運用
  • インシデント集計のフォームの項目
  • 事象のレベル別のエスカレーションルールの策定
  • インシデントMTG(原因、対策)
  • アクシデントMTG(原因、対策)
  • チェックシートの作成
  • マニュアル作成 – 属人化対策
  • 教育プログラム作成 – 属人化対策

なお、冒頭にあります『インシデント&アクシデントレベル表』は以下のようなものになります。

インシデント&アクシデントレベル表の具体例

■Level 0

  • 基本的なうっかりミス
  • ヒヤッ/ハッ/アッが起こった場合

■Level 1

  • セルフチェックで間違いに気付き、修正を行った場合
  • 事故が起こる前に自ら間違いに気付いた場合

■Level 2

  • ダブルチェック者が間違いを気付き、修正を行って納品した場合
  • 納品前に偶然気付いた場合

■Level 3

  • 納品後に開発者が不具合を気付いた場合
  • 納品先からの修正の要望があった場合

■Level 4

  • 納品先から軽度のクレームがあった場合
  • 納品先が修正を行ってしまった場合
  • 納品先にリリース後に影響が出た場合

■Level 5

  • 納品先から中度のクレームがあった場合
  • 納品先のクライアントに影響が出てしまった場合

■Level 6

  • 納品先から重度のクレームがあった場合
  • クライアントとユーザに影響が出てしまった場合
  • 利益の損失に繋がった場合

上記のようなレベル表を用い、実際にインシデントを集計していきます。
前職では以下のようなフォーマットに則って運用していました。

  • 日付(YYYY年MM月DD日)
  • チーム名、案件名
  • インシデント・アクシデントレベル数値
  • 事象
  • 原因分類選択
    • ハードウェア
    • ソフトウェア
    • 人為的
    • 人間関係(コミュニケーション)
  • 原因
  • 対策

取り組みを実行することで、「品質管理」はどのように変わるのか

これらの取り組みを読んだだけで、「面倒くさそう…」と思われたのではないでしょうか?
ただ、前記のとおり、個人の品質管理意識を保つためには、このような面倒くさいレギュレーションを遂行し続ける必要があるのです。そして職場全体に意識を浸透させることが重要なのです。

それではこの取り組み実施前後で生じた「環境の変化」を、私感を交えてご紹介します。

<取り組み実施前>

  • レベル表は用意されているものの、アクシデント時のみしか実運用されていなかった
  • 「Level 3」以上のアクシデントのみミーティングで議題に挙げ、アクシデントの管理を行い、対策を練っていた
  • 「Level 3」以上のアクシデントはそれぞれがレアケースであることが多く、対策を練ったところで同じ事象が起こりづらい。結果、意味を持たない対策に成り下がることがほとんど
  • 「Level 3」以上のアクシデントが月10件以上発生している案件もあった

<取り組み実施後>

  • インシデント部分も管理や運用ができる体制が整い、ミーティングでも意見が出るようになっていった
  • 「Level 3」未満のインシデントを扱う専用のミーティングを別枠で設けた。また、同じことが繰り返し発生しているインシデントについては、改めて再発防止策を考えるようになった
  • 上記の新設ミーティング、および再発防止策の検討フェーズが導入されたことにより、最大10件ほどあったアクシデントが5件以内に収まり、場合によってはゼロになることもあった

意識改革がもたらした変化が、意外にも多いことがお分かりいただけましたでしょうか?
それではこれらの変化によって生まれた「メリット・デメリット」も併せてご報告いたします。

<変化がもたらしたメリット>

  • インシデントを徹底的に防ぐことにより、劇的にアクシデントが減った
  • 事故が起きそうな業務を事前に察知し、すぐ指摘し合える人間関係が生まれた
  • アクシデント自体が減少したことにより、始末書作成や修正対応、謝罪行為などの工数が削減
  • ミスを指摘されたとしても、そのミスを重く受け止める体制ができたため、顧客の信頼度も改善

<変化がもたらしたデメリット>

  • インシデント資料をまとめるのが大変
  • 会議が多くなって面倒
  • 目的を達成するまでに時間がかかる

デメリットはいずれも「大変」とか「面倒」ばかりですね。
でも、無変化状態のままなのであれば、これが「かなり大変」や「もっと面倒」になっていたかもしれないと思うと、身の引き締まる思いをせざるを得ないでしょう。

「品質管理」を全社を挙げての共通課題に。まずは迷うことなく実践を

普段気にすることのないインシデントを見ることで、大きなインシデント自体がなくなるということが、実施前ではいまいち理解できませんでした。
そういった疑問を抱きながらも、実際にインシデントを共有し合うミーティングに参加してみると、次第にアクシデントそのものが減少傾向になっていくことを体感しました。
経験してみないと分からないことって、実際にあるものなんですね。今では非常に良い取り組みであったと自信を持って言えます。

そして副産物的ではありますが、社内環境も劇的に改善しました。社内全体に「アクシデントを減らそう」という意識が自然と広まり、連帯感や結束力が強まったような気がします。これにより精神衛生上でも健全な環境になったと実感しています。

なお、これらは前職の制作会社在籍時代に体験した話なのですが、基本的にどの業種にも当てはめて考えることは可能だと思います。
「品質管理」を再考するのであれば、これらを参考の上、実践してみる他ないですよね!

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