キミはIT業界の悲哀を描いたアニメを見たか?

キミはIT業界の悲哀を描いたアニメを見たか?

こんにちは! “大きなお友達”、略して大友です!!

突然ですが、あなたはアニメが好きですか?
お好きという方はそのまま続きをお読みください。分からんという方はぜひ流し読み頂けると嬉しいです。そもそも嫌いだという方は、残念ですがブラウザバックですかね。。。いや、読んでいただいても好きになるかもしれませんよ。

近年のアニメ界にもトレンドがあります。

それは仕事や生業を題材に、その“舞台裏”を見せた作品が注目を集めています。
これらは社会人をメインターゲットとし、日々、1ジャンルとして活性化し始めているのです。

例えば、石川県のとある旅館を舞台とした仲居さんの活劇『花咲くいろは』、アニメーション制作会社の苦楽を描いた『SHIROBAKO』、ゲーム業界で働く女子を淡々と描く『NEW GAME ! 』等々。

そしてホワイトもブラックもある我らがIT業界を題材に、内情とその側面を描いた自主製作アニメもあるんです。
気になりませんか?

まずはご覧ください

正式タイトルは『こちら京姫鉄道 広報部システム課』、通称『こうしす!』。
第1話公開当時はタイトルが「ひらがな4文字+“!”マーク」の作品が大ヒットを連発していたこともあり、時代背景が見て取れますね。

そして作者は「OPAP-JP」。知識をアニメーションという媒体で表現し、自由に利用できる形で共有することを目的にした非営利プロジェクトなんだそうです。

現在第2話まで公開されている作品で、1話あたり20数分の作品です。ちなみに1話完結型であるため、途中から見ても理解できる内容です。

なお、字幕はないので職場で視聴する際にはイヤホン等を使ってくださいね。

■第1話「XPだけどお金がないから使い続けても問題ないよね」

■第2話「やはり弊社の業務システムは間違っている」

各話の見出しだけでもなかなか興味深いものがありますが、「40分も時間取れねーよ!」という、忙しい方向けにネタバレ解説も用意致しました。
オチまで読みたい方はネタバレボタンを押して表示させてお読みください。

■第1話:あらすじとネタバレ解説

舞台は京姫鉄道株式会社。
社風は「モッタイナイ 直せばまだまだ使えます」。

その様から「狂気鉄道」「動く博物館」などと揶揄されることもある。その反面、最先端技術も過剰なほどに導入しており、古い技術と最先端の技術の融合が各所に見られる。

そんな中、XPのサポート期限が切れたことで社内PCのOS刷新を迫られるのだが…。

予算がないという理由でOS更新を先延ばした結果、システム課以外の社内全域にウイルスの侵入を許してしまう。もはや一刻の猶予もないと、最後の手段として全ネットワーク遮断が進言されるが、重大事故を起こす危険があるここに至ってもまだ全ネットワーク遮断の判断が下されない。

そこで主人公のアカネはサーバルームへ侵入、「モッタイナイ その一言が命取り」の言葉と共に稼働中のサーバからケーブルを引っこ抜く。

何とか最悪の事態を免れた京姫鉄道。上司の取り成しもあってアカネも懲戒を免れ、社長賞を貰う。
特別ボーナスの期待に胸を躍らせるアカネだったが、今回の被害の補填のため、全社員給料カットの憂き目に遭うのであった。

■第2話:あらすじとネタバレ解説

第1話にて活躍した主人公のアカネだが、研修と称して通常業務を外され、各現場へのジョブローテーションを命じられていた。そして最終的に子会社へ開発主任として出向することに。

そこで彼女が見たものは…。

炎上真っ最中の業務システム開発案件であった。
詳しく聞けば、最初は楽勝案件だったはずなのに、途中で他部署から横槍が入ってプロジェクトは白紙、そのまま別システムへ移行することになる。それだけに留まらず、前企画が惜しくなった上層部が新旧両方の機能を搭載するように要望。果ては上層部の鶴の一声で売るアテもないのにクラウド化。

そして「納期は当初のまま」。

アカネが研修で回った各所に協力を取り付けて、正確な見積もりを出して段階的リリースを提案するも、なす術無い柵に職場の仲間たちは次々倒れていく。

ついに限界に悟ったアカネたちは、保守性を切り捨てて「とりあえず動くシステム」を作ることに切り替えてしまった。常人にはない技能を持ったスペシャリスト社員達の個人技によって何とかその場は凌いだものの…。

そして時は流れ、来たる8年後。現行OSのサポートが切れ、「OSを更新すると動かない」かつ「仕様書もソースもない」という「誰も直せないシステム」を抱えたまま、致命的エラーが発覚してしまう。それは第1話で自らが苦言を呈したCEOと同じ過ちを繰り返す自分の姿だった。

…という夢を見たのだ。

「いや、未来は自分達の手で変えられるのだから。」というどこかで聞いたような名言と共に閉幕。

動画をご覧になった、または上記ネタバレ解説をご覧になった読者の方々、みなさん体験したことはないまでも、ちょっとでも思い当たるフシはございませんか?

アニメとはいえ、全然ファンタジー要素ゼロの業界関係者納得のアニメが『こうしす!』なんです!

個人的私感

現役技術者としては共感を覚える部分も多々あり、「ここまでの事態になってしまったら、全部悪い夢だったんだよ、とする以外にハッピーエンドで終わる方法なんかないよね?」という強いメッセージを感じるオチがお気に入りです。

幸いにも今の仕事環境においては、少なくとも私はここまでの事態には遭遇したことがないので、
「あるある(死んだ魚のような瞳)」という重い共感ではなく、「そういうケースもあったかもねぇ(遠い目)」という比較的ライトな共感ではありますが。

ありがとう、株式会社ショーケース・ティービー。いい会社です。(自社自賛)

この作品から学ぶシステム作り

とはいえ、これを「単なるエンジニアあるある」で済ませてはいけないと思うのです。
この作品はあくまで啓蒙を目的としているのですから。

誰々が悪いとか、上が責任取るモンだろとか、どうせ組織の体質はそう簡単に変わらないから諦めて社畜になるしかないとか、いざとなったら逃げ(辞め)ればいいとか、そういった受け身の話ではなく、どうすれば仕事環境が良くなっていくんだろう?という前向きな対策を、一人ひとりが都度考えていくべきなのです。

ただ、対策というのは転ぶ前に用意しないと意味がないのに、得てして対策が生まれるのは転んだ後なんですよね。

そこで他所の失敗例を知ることが自らの予見材料として活きるワケです。
逆に、失敗するケースを事前に知っていながら自分も同じ轍を踏むのでは、プロとしてはあまりに芸がありませんよね。

やはり主人公と同じく各所にヒアリングを行い、それぞれが望むものをリサーチし、それぞれが本当に必要としているものは何かを導くことを目指すのが最も重要になると思います。
それも可能な限り先手を打つこと

プロジェクトの炎上率はチームのコミュニケーション密度に反比例する

私も過去にこんなことがありました。

「たった一度ホウレンソウを欠いたばかりに大変なことに……」

これは私に限らず、誰しも一度は苦い経験として身に覚えがあるのではないでしょうか?

ビジネスにおけるコミュニケーションとは、正解が何かを導くことよりも、全員の目指すゴールを統一することが大切です。

一口に言えば、現場の技術者自身も自分のタスクだけではなく、プロジェクト全体の状態を意識しないといけませんよね、ということです。

「いやいや、それは管理職の仕事でしょ。下っ端がそんなこと考えてもなかなか口出しできないよ…」という声も聞こえてきそうですが、少し冷静に考えてみてください。

当たり前ですが、管理職の人も最初から管理職だったわけではありません。

結果から言えば末端で働いている間にそういう俯瞰視点で物事を進める意識を高めていったから管理職になった、というだけの話です。

とすれば視野を広げる意識を持つだけでも、今すぐフィクションの主人公の如く、八面六臂の大活躍はできずとも、未来の自分に大きく貢献することには繋がりますよね。

そういう地道な経験値の蓄積が後々の実力として利いてくるのです。
逆境は、是非とも自分の知見として吸収していきましょう。
もちろん、体を壊さない程度に、ですが。

コメント

  • ただの好奇心だけど、『こうしす!』をどうやって見つけた?偶然?知り合いからの紹介?

    • 大友

      休みの日にアニメやゲームの動画を探していて見つけました。ときどき「自主制作」にジャンルを絞って探すことがありまして。いわゆるインディーズですね。
      クオリティでは商業系に敵わない分、インパクトやアイデアで攻めてるものが多くてなかなか面白いのです。