初心者が自作ロボット大会に殴り込んでみた④

初心者が自作ロボット大会に殴り込んでみた④

決戦は金曜日 ――

6月30日のプレミアムフライデー。
早い時間から酔いどれ天使たちがくだを巻き始めた巨大都市の新宿に、ノリで集まってしまったヘボコン戦士が10組。
そして我々は無事に帰路につくことができるのだろうか?
<前回のおさらい『初心者が自作ロボット大会に殴り込んでみた③』>

いきなりだが、精鋭ヘボコンたちのトーナメント戦の幕が切って落とされた。
決戦方式が相撲である以上、見た目の “ヘボさ” だけでは分からない。
動きに “ヘボさ” があるのか、そしてそもそも動くのか……。

1回戦第1試合 『M&M』 VS 『ネズミーランド』

『M&M』の足回りのキャタピラは機動力の証。しかし、攻撃手段は糸電話。
片や『ネズミーランド』のでんでん太鼓の回転力は高速。ただし、移動手段は高速回転による振動のみ。
開幕緒戦から我々の想像力をどう “ヘボさ” が上回ってくるのかが分からない好カードである。


激しく睨み合う両者。
悲しくもこの好カードに関心があるのは、この場にいるものだけなのだ。


ジリジリとにじり寄る『M&M』に、その場で円運動を行うだけの『ネズミーランド』。
『ネズミーランド』は為す術もなく、『M&M』が寄り切りで勝利した。

○『M&M』 寄り切り 『ネズミーランド』●

1回戦第2試合 『クレイジードッグ』 VS 『バンジャン』

動画で見た『クレイジードッグ』の機動力は折り紙付き。
対戦相手の『バンジャン』はとにかくモロそう。見た目からヘボいマシンである。
我々の予想では相撲では『クレイジードッグ』が優勢、ヘボさでは『バンジャン』が優勢と予測。


リングインの段階で異種格闘技戦の様相。
突き出た針金が『クレイジードッグ』の「クレイジー・アイ」にダメージを与えるのか?


がっぷり四つとはならず、『バンジャン』の針金がちょんと『クレイジードッグ』に触れただけ。しかし、少しでも触れれば再試合とはならないという公式ルールにより試合は成立。
なかなかまっすぐに進まない『クレイジードッグ』の暴走により、勝手に土俵を割ってしまった。

○『バンジャン』 送り出し 『クレイジードッグ』●

1回戦第3試合 『台所ダイカン1号』 VS 『バースデーくま!』

野獣と美女の対戦。どちらも見た目にインパクトがある勝負だである。
電車道であれば『台所ダイカン1号』が優勢、裏に回り込むことができれば『バースデーくま!』優勢と予測。
ただし、『バースデーくま!』はコントローラーがないため、そこまでのフットワークがあるのか……


取り組み前の段階では公開処刑のような勝負と目される。
誰に向けたか分からない音痴なバースデーソングは勝利を告げる歌となるのか?


なんと『台所ダイカン1号』の懐に潜り込むことに成功。
しかし『台所ダイカン1号』の両腕が土俵を割る前に『バースデーくま!』の胴体が土俵を出てしまったようだ。

○『台所ダイカン1号』 寄り切り 『バースデーくま!』●

1回戦第4試合 『夏虫』 VS 『シンギュラリティ・ドッグ』

ついに我々の出番である。
第2試合の兄弟犬『クレイジードッグ』の敗戦を見て、我々は『シンギュラリティ・ドッグ』に「シンギュラリティ・ソックス(=指サック)」を履かせることにした。これにより暴走によるリングアウトは避けられる。
しかし、対戦相手は超小型。仮に避けられてしまったらリングアウトは免れないだろう。


我らの『シンギュラリティ・ドッグ』が『夏虫』に触れ、ファーストコンタクトを取ることに成功。
しかし『夏虫』の軽さと “神の手” にいなされ、為す術もなく土俵外へ一直線!

○『夏虫』 送り出し 『シンギュラリティ・ドッグ』●


我々の夏は終わったのだ……。とはいえ、まだまだトーナメントは続く。

1回戦第5試合 『シノビマウンテン』 VS 『???』

前回の選手紹介でお伝えしたが、なんとエントリーNo.10のmiwaさんが試合開始に間に合わず、『シノビマウンテン』が不戦勝となった。
これはヘボい対決だ!

○『シノビマウンテン』 不戦勝 『???』●

1回戦第6試合 『夏虫』 VS 『シノビマウンテン』

『シノビマウンテン』が労せずに勝利したことから、ベスト4を賭けて『夏虫』との対戦が組まれた。『夏虫』にとっては連戦。
『シノビマウンテン』は我々の『シンギュラリティ・ドッグ』同様に胴体の長さを武器にしたマシンであることから、いなされれば太刀打ちできないだろう。
ただし相手はゼンマイ仕掛け。上手くヒットすればそのまま電車道も考えられる。


超小型ロボと長身ロボの対決。
我々の戦いぶりの二の舞いにならなければ良いが……


見事な押し出しで『シンギュラリティ・ドック』の仇を取ってくれたかのようだったが、『夏虫』が土俵を割る前に『シノビマウンテン』の先っちょが土俵に付いてしまった!
我々の結果も踏まえ、長身ロボは “勢いだけ” ということを裏付けしたのだった。

○『夏虫』 勇み足 『シノビマウンテン』●

『夏虫』の連戦があったものの、この結果によりベスト4が出揃った。

<準決勝進出者>

  • エントリーNo.1 カガミさん『M&M』
  • エントリーNo.4 ヨシオカさん『バンジャン』
  • エントリーNo.5 おしょうゆさん『台所ダイカン1号』
  • エントリーNo.7 李さん『夏虫』

2回戦第1試合 『M&M』 VS 『バンジャン』

1回戦で突進力と “ヘボい” 糸電話攻撃を披露した『M&M』に対するは、掴みどころがなく時間経過とともに “ヘボい” ボディが崩壊し始めた『バンジャン』の対決。


ドイツ軍の重戦車のような『M&M』とイギリス軍兵器 “パンジャンドラム” のような『バンジャン』のにらみ合い。


予想外に『バンジャン』が善戦。
土俵際で『M&M』をひっくり返そうとする動きを見せるも、切り取ることを放棄した『バンジャン』の長い針金が土俵を割ってしまった。

○『M&M』 寄り切り 『バンジャン』●

2回戦第2試合 『台所ダイカン1号』 VS 『夏虫』

参加者の中でも最大の大きさを誇る『台所ダイカン1号』と参加中最小ロボである『夏虫』の対戦。まさしく「小錦」対「舞の海」の再現だ!


同じ土俵に並ぶと「小錦」対「舞の海」以上のスケール差である。
『台所ダイカン1号』は懐がウィークポイントなだけに、小型ロボ『夏虫』にも十分勝機がある!?


『夏虫』の神の手によるハンドリングミスか、『台所ダイカン1号』の手にまともにヒット。そのまま土俵を割ったのだった。

○『台所ダイカン1号』 押し出し 『夏虫』●

ついに本戦は残すところ1戦!

<決勝進出者>

  • エントリーNo.1 カガミさん『M&M』
  • エントリーNo.5 おしょうゆさん『台所ダイカン1号』

決勝戦 『M&M』 VS 『台所ダイカン1号』

ここまでくるとロボットも疲労を見せ、各人が持ち込んできた状態は保てていないのかもしれない。
しかし、双方キャタピラー駆動でパワー勝負は必至だ!!


ガムテープが目立つ『台所ダイカン1号』。
これは連戦による名誉の負傷なんかじゃない、元からだ!


がっぷり四つに組まれて始まった決勝戦は、やはり最重量級の『台所ダイカン1号』が優勢に。
防戦一方の『M&M』を駆るカガミさんが攻撃手段としてではなく、「かんばれ~」と『M&M』にエールを送る!


しかし応援の甲斐虚しく、ド派手な寄り倒しで『台所ダイカン1号』の勝利!

○『台所ダイカン1号』 寄り倒し 『M&M』●


見事、初代「新宿ヘボコンナイト」のチャンピオンに輝いたおしょうゆさんは、「勝利は恥、ヘボこそ真の勝者」と勝利者インタビューで詫び始めたのだった。
見よ、王者の詫びのスピードを!

表彰式。しかしこのままでは終われない!

本戦も終わり表彰式に。


初代王者に輝いたおしょうゆさんに、3Dプリンターで作成したメダルが贈呈された。
「音」をテーマにした大会だっただけにメダルはカスタネットの形を模している。
詳細はおしょうゆさんのブログを参照されたし。


そして『キング・オブ・ヘボ』の称号に選ばれたのが、戦う度に崩壊していく『バンジャン』を持ち込んだヨシオカさん!
副賞として鳴らないホイッスルのトロフィーが贈呈されたのだった。

<優勝>

  • エントリーNo.5 おしょうゆさん『台所ダイカン1号』

<キング・オブ・ヘボ>

  • エントリーNo.4 ヨシオカさん『バンジャン』

ん~。我々の『シンギュラリティ・ドッグ』は1回戦敗退。
このままでは終われない。。。
そこで本戦終了後の交流戦(エキジビション・マッチ)に積極参加することにした。

交流戦1試合目 対『クレイジードッグ』

ともに1回戦敗退組ではあるものの、どちらが “真のヘボドッグか” の雌雄を決する時が来たのだ!


何気に手の混んでいる『クレイジードッグ』の背中。
技術的には戦う前から決着が付いていると思ったのはナイショだ!


柴犬ベースの『クレイジードッグ』とビーグル犬ベースの『シンギュラリティ・ドッグ』が向かい合う。
“兄弟対決” と目されたが、その結果やいかに!?


本戦では軽く『夏虫』にいなされてしまったが、『シンギュラリティ・ドッグ』初のがっぷり四つ!
なんとかパワー対決に持ち込むことができた!


「シンギュラリティ・ソックス」のグリップ力が功を奏し、パワー対決に勝利!
『クレイジードッグ』を裏返すことに成功したのだった。

○『シンギュラリティ・ドッグ』 寄り倒し 『クレイジードッグ』●

交流戦2試合目 対『シノビマウンテン』

ともに『夏虫』にやられたロボット対決。見どころはなんといっても “胴体の長さ” に尽きる。誰にも求められていない長さ対決が始まる。。。


その長さに目をとらわれがちな『シノビマウンテン』だが、意外にも足回りがしっかりしている。
前輪が円形ホールではなく板カムを採用することでボディに無駄な上下運動を生み出し、刀部分のいかがわしい動きを実現しているのだ!
購入したまま外していないタグを踏みつけているものの、きっとこれがチャームポイントなのだろう。


双方がいくら胴長とはいえ、正面から見ればただの点。
組み合うことも難しく、ただのすれ違いになってしまうと予想されたのだが……


「シンギュラリティ・ビューティローラー」が刀の柄の部分に引っかかり、『シノビマウンテン』のまさかの方向転換。
ヤバイ、背後を取られて送り出されるかも!


しかしそこは『シノビマウンテン』。長さが仇となり、本戦同様に先端が土俵を割ったのだった。
さすがヘボコン、エキジビションでも “ヘボさ” を発揮してくれました!

○『シンギュラリティ・ドッグ』 送り出し 『シノビマウンテン』●

交流戦3試合目 対『台所ダイカン1号』

やはり、チャンピオンの胸も借りたいところですよね。
前2戦で予想外のパワーを発揮した『シンギュラリティ・ドッグ』ですから、健闘するのではないでしょうか?


特徴的なアームを持つ『台所ダイカン1号』は、実はロケットパンチを実装。ただし、重量オーバーにつき泣く泣く外しているとのこと。
こういった無計画さに “ヘボさ” を感じさせてくれるじゃないですか!


とにかく「当たって砕けろ」の精神でスタンバイ。
土俵際ギリギリの位置からスタートさせる作戦にしました。


完全に懐に潜り込むことに成功! あとは力負けしないことを祈るばかりですが……


土俵中央で両者完全にスタック。めんトリも真っ赤になっています!
王者相手に引き分けに持ち込めたのは、まずまずの結果であると言えるのではないでしょうか。

△『シンギュラリティ・ドッグ』 寄り切り 『台所ダイカン1号』△

ここで “キング・オブ・ヘボ” の『バンジャン』にも挑もうとしたのですが……


写真では元気に動いているように見える『バンジャン』。
しかし触れる度にパーツが取れたりする状態。スイッチのON/OFFすらままならない。。。
もはや粘着テープに限界がきたのか……

いくら『バンジャン』が “キング・オブ・ヘボ” とはいえ、我々が息の根を止めてしまいかねません。
さすがに挑戦は諦めました。
ヘボい、ヘボすぎるっ!!

大会形式で進行していたものの、こんなにもゆるい空気で幕を閉じたのでした。。。


運営・進行をされた「My Tech Lab」のヘボ兄さん、ヘボ姉さん、
本当にお疲れ様でした!!!
また、「My Tech Lab」でもイベントレポートを公開しているので、ぜひご覧になってください!

全4回に渡ってレポートしました『ヘボコン大会』参加のお話、いかがでしたでしょうか?
真剣にロボット制作の話だと思って読み進めていた方、ゴメンなさい。。。
でも我々だって真剣に “ヘボさ” を追求したんですよ!

「ロボットは万能であるべき、ロボットは人間より優れているべき」
そんな固定概念が我々のアイデアの芽を摘み、結果的につまらないものができあがってしまうのです。

一度は固定概念を捨てましょう。
一度は “ヘボさ” を追求してみましょう。
くだらないアイデアから、かけがえのない人間のベストパートナーが生まれるかもしれませんよ!

みんなでハイ、ポーズ!

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