新人マネージャの苦悩と努力とその結果

新人マネージャの苦悩と努力とその結果

一言に『マネジメント』とは言っても、色々な種類や手法がありますよね?
それこそ一般的なマネジメント論は書籍やWebサイト上にいくらでも転がっています。

しかし、マネジメント経験が浅いと、どうしても情報過多で頭でっかちになりがちで、そもそも何から着手すべきなのか分からないといった方も多いのではないでしょうか?
場合によっては、意図せずマネジメントの役割を背負わされている……なんて方もいらっしゃるかもしれませんね。
はたまた、先達がやってきた手法とは異なり、独自で考えた理論をもって「こうやっていくんだ!!」と意気込んでいる人もいらっしゃいますよね?
置かれている状況やマネジメントに対しての意識というものは、人それぞれ違って当たり前でしょう。

新人マネージャとして半年経過した私も、多分に漏れず悪戦苦闘してきました。
ベテランマネージャには釈迦に説法かもしれませんが、生意気ながら私の持論と経験論を交えて、『“HAMA-G” 流マネジメント論』をお話させていただければと思います。

マネージャになった日

2017年4月1日、私はマネージャに就任することになりました。
担当するグループのメンバーは年齢も性別も社歴も様々。当然、性格も様々のメンバーをマネジメントするのです。

普通であればどのような変革をし、どのような組織にしていこうかという期待と、そもそも自分にその重責をまっとうできるのかという不安で胸いっぱい……、といったところなのではないでしょうか?
しかし、私は違いました。

もともと組織として成り立っていた土台がない中で任されたグループだったので、まずは組織が正常に回るようなスタンダードな管理体制を整えることが先決で、着任早々やらなければならないことが明確だったからです。
「期待や不安」といった感慨にふける間もなく、資料や管理ツールの整備などでバタバタでした。

また、若手メンバーの教育や複数にわたるプロジェクトスケジュールの調整、そしてプロジェクトの課題解決に向けた施策策定といったように、いちエンジニアとして勤めていた時には考えられないような膨大な量のミッションに追われてしまいました。
結果、ほとんど自分の時間を取ることができない状況で1カ月、2カ月……と、時間だけが過ぎていくばかり。少しずつ前進している実感はあるのですが、人にしてみれば “変わっていない” と思われてしまうぐらい微量な前進でしたし、実際に思うようにいかない時期もありました。

時間の流れというのは容赦ないもので、グループ内の問題や課題の解決進度に対し、プロジェクト数は2倍3倍と膨れ上がっていきます。休日返上で課題の解決方法や体制のあり方について考えたりもしていました。
「追い詰められている」とはまでは言いませんが、少なからず似たような状況に立たされている新人マネージャの方もいらっしゃるのではないでしょうか?

振り返ってみるとそんな状況下でも、私は一度もキツいだとか、ツラいといった泣き言やグチは言ってきませんでした。
弱音を吐く時間も許されていないような感覚です。
まだその頃から半年しか経っていませんが、そのくらい大変だったということを今でも覚えています。

マネージャーになって3カ月

マネージャ就任から3カ月が経ちました。

体制の構造化は進み、メンバー全員が決められたタスク管理ツールを利用して、私が考えていた体制の作業ルーチン化が定着し始めました。それに伴い、メンバーそれぞれのタスク消化や課題解決が順調にクリアしていくようになりました。
しかし、他グループとの業務連携や、他グループに属するメンバーの教育が私に回ってきたりもし、結果的に自分のタスク総量が減り始めるといったことはありませんでした。

とはいえ、自身のグループに対しての手間が省けたことで、プロジェクト運営の課題等について考え始めるようにもなりました。プロジェクトごとに形や課題が異なるのは当たり前の話ですが、運営の形式はルールさえ決まってしまえば “標準化” が可能であると考えていたからです。
その “標準化” に向け、運用の形態を整える資料の作成や知識の周知徹底に奔走していたのです。

何もただ闇雲に “標準化” の重要性を説いて回ったわけではありません。ちゃんとこの考えに行き着いた経緯があります。それは、我々のIT本部(=開発部)という組織では、これまで認識されながらも、解決に至っていない課題がいくつか明確にあったからです。

  1. 属人化されている箇所が多々あること
  2. メンバー間のスキル差が激しいこと
  3. 能動的な意識を持ち合わせているメンバーが少ないこと
  4. 上記3つを解決する教育体制が整っていないどころか、そもそもないこと
  5. プロジェクト運営の基準として相応しいプロジェクトがないこと

どの課題も一人で解決できるようなシロモノではないことは確かです。
まずは課題解決を少数に絞り、それを横展開していくことができる仕組み作りから取り掛かることにしました。

  • プロジェクト運営の基準として相応しいプロジェクトがないこと
       ⇒基準となるプロジェクトを作る
  • 教育体制が整っていないどころか、そもそもないこと
       ⇒教育体制の標準化を行い、事例を作る

マネージャーになって半年

3カ月前から着手していた “標準化” は、この頃はもう完成に近づいていました。つまり、横展開をして残された課題の解決に取り組み始める時期になったということです。
残りの3つの課題は、以下のような解決策を執ることにしました。

  • 属人化されている箇所が多々あること
       ⇒すべてのタスクにおいて2名以上の体制とし、タスクの冗長化を行う
  • メンバー間のスキル差が激しいこと
  •    ⇒スキル差を埋めるため、ペアプログラミングを行い、スキルの均等化を図る

  • 能動的な意識を持ち合わせているメンバーが少ないこと
       ⇒プロダクト毎にプロジェクトチームを作り、毎週KPT(=Keep Problem Try)ミーティングを実践。
        週次でメンバー一人一人の課題解決を行い、モチベーションの向上を図る
       ⇒毎日、朝夕で進捗共有会議を開催。
        残タスクを明確にした上で、メンバー同士でサポートし合える体制を構築

上記のような取り組みを行い、組織の構造改革を行っていきました。

怒涛の半年、そして新たな挑戦

前述の5つの潜在的な課題に対し、自分の時間を犠牲にしてそれぞれ組織の構造改革に働きかけてきたところで、まだ細々とした組織の課題は存在します。改めて組織は生き物であることが実感させられますね。

しかし、自分の時間を犠牲にした結果、私のグループメンバー全員が能動的にタスクを消化していく意識が育まれました。 これは、かなりうれしいことです。

ちなみにこれからの課題は以下のように考えています。

  • グループ外への組織の構造改革の伝搬
  • 新人教育の多方向制(トップダウン教育、ボトムアップ教育)
      ※なお、現在はどちらでもない、単純なOJTとなっている
  • 他部署とのシームレスな連携体制
  • 開発部の社外広報活動​
      ​※​​社外技術セミナー などなど……

これまでの半年は、かなり苦しいものがありました。いちエンジニアとして活動してきた作業よりもずっと大変でした。
しかし、まだまだ課題は山積みです。これからも大変なのは変わりないと思っています。

この半年を振り返り、私の考えを改めてまとめる

手探り状態で始まった新人マネージャの奮闘を時系列でご紹介しましたが、このわずか半年の間で色々な発見がありました。
それを経て身についた私のマネジメント極意をここにまとめてみました。

極意1:組織が抱える課題は、目で見えている課題とは異なる

例えば仕事が終らず、遅くまで会社に残っている人がいたとします。
一見、すごく頑張っているように見えますが、実際本人に聞いてみると、振られたタスクについて考えている時間が長いだけだったということが分かりました。そこでこの課題に対していくつかの可能性が見えてきます。

  • 期限を決めずにタスクについて考え始めたのではないか
  • タスクを時短で消化するスキルが足りていないのではないか
  • ただ単純に、本人のやる気が欠如しているだけではないか

果たして、この中に本当の課題が隠されているのでしょうか?

本質的な課題を洗い出さなければ何も解決しませんし、不明瞭な課題に対して不必要にリソースを投下したり、ツールで解決できるようなものではありません。
本質的な課題を抽出するには、課題は目的に隠されていることを忘れてはなりません。そもそもにして目的が何であったのかを振り返り、本質的な課題を見抜くべきだと思います。

また、何らかの解決策を打ったところで終わりというわけではなく、その策によって正しく課題解決に至ったかを見極める(=正しくレビューを行う)ことが重要になってきます。
これを怠ってしまうと、課題解決がなされたとしう認識であっても、確認者(=レビューア)の質が悪ければ、その課題解決の質も同等となってしまうからです。

極意2:メンバーから信頼を得れているマネージャであること

これは当たり前すぎる話かもしれませんが、どのくらいメンバーから信頼を得れているのかを自覚することは重要です。

名ばかりのマネージャは程なくして煙たがられることでしょうし、ましてや信頼を得ていないにも関わらず「これやって、あれやって」と指示ばかり言ってくるマネージャは論外です。
メンバー一人一人の性格や性質を理解して寄り添ってあげることがとにかく大事。 自分のことを見てくれていない、または、無関心を装う上司から指示を受けたくないものです。

変わりゆくマネージャの本質

この半年間で実際に携わったことで、私個人がマネジメント論に関心を持ち始めたことが影響していると思われますが、よく「マネージ
メントのあり方は、だんだん変化してきている」という言葉をよく耳にしますし、共感できるところでもあります。

ここ最近、書籍やいくつかのセミナーでも同様の議題が話されることがよくあり、昔はよくいた「俺について来い!」タイプのカリスマ的マネージャが絶滅危惧種であるというのです。
現代はVUCA(「​Volatility​/​変動性」「​​Uncertainty/不確実性」「Complexity/複雑性」「Ambiguity/曖昧性​」)​は溢れている時代​だと言われています。

これをビジネスシーンに置き換えることは簡単です。
「すぐに変動し、継続的な成功を収められるかは不確実。しかも成功への道筋は複雑であり曖昧でもある……」ということです。
これを部下の立場になって考えると、マネージャから「君のビジョンは何? 目標は?」とか言われたところで、変動が激しすぎるビジネスシーンでは明確な解答を提示できるわけがありません。

このような現況である以上、マネージャが各メンバーに答えを求めること自体を間違っているとは言いませんが、正しいとも思えません。
ある一定のルールの中で「みんなの考えを共有して一つにまとめよう!」であったり、「メンバーと共感し、時には弱みを見せることができる」マネージャであることが、現代のビジネスシーンにおいて有能なマネージャなのだと私は考えます。

要するにハーバード大学のリンダ・A・ヒル教授が提唱した「羊飼い型リーダーシップ」ということですね。
<参照:おるかの!『羊飼い型リーダーに必要な3つの要素とは』>
これについては、自分の思想は間違っていなかったと確信が持てるところでもあります。

とはいえ、まだマネージャ歴半年。そして絶えず時代は変わっています。
物事を大局的に捉え、これからも私なりの「マネジメント論」の熟成を図りたいと思っています。

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