Adobeの2017年10の予測マーケティングトレンドを読み解く -考察編

Adobeの2017年10の予測マーケティングトレンドを読み解く -考察編

昨日はAdobe社が公開した『2017年10大マーケティング・トレンド』を要約という形でご案内させていただきました。
<参照:Adobe UNITE『2017年、マーケティングトレンド予測トップ10』>

続編となる今回は『考察編』として予測のいくつかを抜粋し、bitWave編集部独自の見解をご紹介させていただこうと思います。
レポート原文、および前日の『要約編』と併せてご覧ください。
<bitWave関連記事『Adobeの2017年10の予測マーケティングトレンドを読み解く -要約編』>

信頼性を考慮せずに情報発信を行うのは愚の骨頂である

予測2:『信用問題への取り組み』

信用の問題はすべての業界に影響する。既存の体制を疑問視する大衆の声は、先行きが不透明な世界政治の現状にも反映されているとの供述もある。マーケターは顧客とより直接的なつながりを持ち、透明性を確立していくべき。つまり、マーケターには今よりも賢く行動することが求められる。
(『要約編』より)

ネット広告もキュレートも最近は低質化が否めません。
広告が思わぬところに出ていたり、釣りタイトルの悪質なサイトに自社の商品が利用されているだけでも、ブランドの損失は大きくなります。
より丁寧に広告出稿しなければ、自らブランドイメージを毀損する可能性だってあるのです。

SNSなどの管理においては「中の人の教育」と「発信内容にも注意」を傾ける必要があります。発信力が高いほどブランド力を急速に押し上げる力もあるため、諸刃の剣であると言えるでしょう。

そして信頼性という点では、マーケティングの範囲を「販売後」にまで拡張する必要があると、この10大予測では言っています。

アドテク市場縮小は本当か

予測3:『デジタル企業身売りの増加』

アドテク市場にはスタートアップ企業がひしめき、2年前にベンチャー投資の流れは止まっている。資金の枯渇に伴い、末端のプレーヤーはデータテクノロジーのノウハウを欲しがっている企業や、媒体企業の買収ターゲットとなる。
(『要約編』より)

Adobe社はアドテク市場の縮小を予測していますが、実際にアドテク投資は極端に減っているようです。
PitchBook(投資・M&Aデータ提供企業)によると、米国のアドテク企業に対する投資は2015年以降大幅に減っており、Adobe社の予測を裏付けるものと言っても良さそうです。


<参考:PitchBook『Venture capital gives ad tech the cold shoulder』>
この要因の一つは、採算を度外視したスタートアップ企業が多くなり、収益性に疑問符が付くような企業が増えてきていることに関係しているとされます。
<参考:Gobal Adtech『採算度外視のアドテク企業に赤信号。これからのVCがスタートアップに期待すること?』>

こうした “怪しい” スタートアップ企業が投資による多額の資金調達が捗るわけもなく、結果的に身売りするケースが増えるというのは確かなようです。そして、それをバイアウトするのはマーケティングテクノロジー中心の企業というのがAdobe社の分析となっています。
事実、Adobe社自身がビデオデマンドサイドプラットフォームのチューブモーグル(TubeMogul)を5億4000万ドル(約540億円)で買収しているのですから、身をもって証明しているということでしょう。
<参考:DIGIDAY『Adobe の TubeMogul 買収、アドテク統合の転機到来か?』>

ブランド告知にデスクトップを活用する時代は終焉を迎える

予測4:『デスクトップの衰退、AIの進化』

デジタルアシスタントやチャットボットといった形でのAI(人工知能)の利用も、モバイル中心の動きに加担することになるだろう。アシスタント機能は主にスマートフォンから利用されている。この傾向は2017年にさらに顕著になると予測する目もある。本格的にスマートフォンが主導権を握ったと見ていいだろう。
(『要約編』より)

ブランドの認知がスマホに依存する ――
もっと具体的言えば、ブランドの認知は個別のアプリの露出回数とSNSの共有、友人との関係性や習慣によって決まると言えるのではないでしょうか。

「旧来メディアのテレビCMというマスと、看板・ポスターや中吊り、雑誌などのメディア総合効果で作り出されていたブランド認知が、すべてスマホ発信の情報に切り替わったら……?」という、単純かつ壮大な問いかけをしてみれば、今のブランド告知のあり方が見えてくるでしょう。

天下の広告代理店、電通のブログ「電通報」(渋い……)にある記事が実に分かりやすくまとめられています。
<参照:電通報『スマホマーケティングで知っておきたい七つのポイント』>

10代女子のスマホのホーム画面に着目するあたりは、“さすが電通” です。
ホーム画面は基本的に高い頻度で利用するアプリ群で構成されており、ダウンロード数だけでは分からないリアルなリーチが推定できます。これは重要なアプローチと言えるでしょう。

ちなみにこの記事では例の「MERY」が女子の4大共有アプリに挙げられています。
しかし、今は無いですよね…。
<bitWave関連記事『DeNAのキュレート問題報告書はSEO視点では貴重な資料』>

ということは、巷の女子高生の間では「“MERYロス” とかあるわけ?」なんて思って調べてみたら、以下のようなページがありました。
<参照:CNET Japan『女子高生が「MERY」を好み復活を求める理由』>
<参照:NAVERまとめ『MERY難民に朗報! MERY代わりのオススメアプリ』>

むむ、アンテナが低かったことに深く反省……。

スマートフォンの加速は止まらない

予測5:『ピークを迎えるモバイル』

全世界のスマートフォン所有数とモバイルメディア消費時間はどちらも飽和点に近づいていると、多くの業界ウォッチャーは考えている。モバイルプラットフォームでの競争はまもなくゼロサムゲームとなるだろう。モバイル端末上で消費される時間の伸びは横ばい状態となっている一方、スマートフォンの使用は爆発的に増えている。このことからモバイル消費時間の上昇分は、実際には他のメディアからの移行、またはマルチタスクによるものと考えられている。
(『要約編』より)

下記のグラフはECショップの直近のアクセス率です。特別なことをしていない、一般的なECであってもこれなんです。
スマートフォンからアクセスの流れは止まらず、未だに増え続けている。もはや80~90%になるのは時間の問題と言えるでしょう。


こうなるとスマホ対応しているというだけでは、他との差別化を図るのが難しくなっていくのが想像できます。
手前味噌にはなりますが、弊社が提供するサービス『スマートリンク』のように、商品検索に差別化を図るといったツール導入も1つの手段と言えるでしょう。

そして、いよいよスマホが当たり前という認識が世間の常識レベルまでに達すれば、モバイル(含:モバイル広告)の入り込んでいない領域にも踏み込んでいかないと勝てなくなることでしょう。
これはAmazonで言うところの『Amazon Dash Button』や『Amazon Echo』がそれに当たるでしょう。

このAmazonが導き出した領域は、デバイスとしてもアプローチとしても新しく思えます。
これらはAmazonほどの体力を持つ企業だからこそできるマーケティング術ではありますが、いよいよ資金のないマーケティング担当者も知恵を絞るべき時期が来たとも言えます。
目を背けた瞬間、ズルズルと後退する可能性すら出てきたのではないでしょうか。

ユーザボイスを丁寧に拾うのは重要だ

予測8:『DIYマーケティング』

広告で一人ひとりの属性に対応する「パーソナライゼーション」を越え、消費者が自らマーケティングコンテンツを作成する時代がやってくる。これは、UGC(ユーザ生成コンテンツ)をさらに越えていくものだ。マーケティングにおける人工知能の応用は、クリエイティブとメディアの組み合わせを最適化し、より高度な「ターゲティング広告」を可能にし、消費者がより直接的にブランドと関わるようになると予測する声もある。
(『要約編』より)

前項で言う “モバイルの入り込んでいない領域にも踏み込んでいる” ことができている企業と、できていない企業があります。残念ながら、ショーケース・ティービーはできていない会社です……。
これはDIYマーケティングとも密接に関連しています。

そもそも「DIYマーケティング」というワードは定着していません。
外形的にも固定されたフレームが無い便利なワードであることは確かなのですが、AdobeはこのレポートでDIYマーケティングが何なのかを説明していません。
文脈から察する限りでは、個々の発信と利用法に徹底してフォーカスするというアプローチのことのようです。

もし、このようなユーザ活動を活性化させたいのであれば、ユーザ独自に広告媒体(としての発信)を果たすためのインセンティブが必要になります。
この場合のインセンティブとは、知名度・露出・承認欲求などを指すことになるでしょう。

また、このようなアプローチを人力で実現するのは困難を極めるので、人工知能(AI)などを駆使したアプローチも非常に重要になってくることが予想されます。

マーケティング・アカウンタビリティ

予測10:『試行錯誤からアカウンタビリティの確立へ』

2017年にデジタルメディアがトップランナーの座につくからには、アカウンタビリティ(説明責任)の徹底が必要となる。虚偽広告の蔓延に見られるような、デジタルマーケティングへの投資が本当に役に立っているのか不明な状況には、より厳しい目が向けられるようになるだろう。ただし、虚偽広告の追求は改革のひとつの要素にすぎず、より重要な点はデジタル戦略の有効性を実証することだ。
(『要約編』より)

「説明責任」と書こうと思い、念のためGoogleで検索みたところ、「説明責任と訳するのは違う」という意見が多くありました。
しかし市場の理解も様々で、マーケティング・アカウンタビリティに関しては、「発信側(製造者・供給者)のアカウンタビリティ」と「マーケティング部門から社内におけるアカウンタビリティ」があるようです。

最近の例で言えば、DeNA社のキュレート問題が該当するのかもしれません。「アカウンタビリティ」を強く意識していれば、この問題は発生しなかったとも言えます。
まさに “コンテンツの製造者責任” ということです。

また、広義的に理解すれば、自社サービスが十分に有効に使えるように努力することも、マーケティング・アカウンタビリティの範疇と言えるかもしれません。
<参考:MarketingBase『サイエンスとアカウンタビリティ』>

自分ごとだが「BtoBのマーケティングは成果が掴みにくくて難しいんすよ〜」ていうのもアカウンタビリティ的にはアウトだろう。(すんません。。。。)

いかがでしたでしょうか。
あくまで総論でしかないので、各論は業種・業態・業務に応じて変わってくるとは思います。ただし、これらを意識して活動するのは無駄ではなく、むしろ有意義な結果を生む可能性が高いと思われます。
ぜひ原文をご覧いただき、自分の環境に置き換えて考察することをオススメいたします。

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