AI(人工知能)プロジェクト① ~いざ迎える出港の時

AI(人工知能)プロジェクト① ~いざ迎える出港の時

現在、私はAIプロデューサーとして、自社独自のAIプラットフォームの開発を行っております。

企画・構想から、スクラッチから行うAIプロジェクトは、経験したくても経験できるものでもなく、めぐり合わせや縁が非常に大切であると日々実感しており、私の構想に賛同して下さっている方々には、本当に感謝しています。
社会的な責任も伴ってくる故に、素晴らしいプラットフォームができあがることを期待しております。

これから本ブログを通じ、このプロジェクトがどのように進んでいくのかを、できるかぎり社会科学の視点を交えて、シリーズ連載という形で発信させて頂きます。

3つを束ねて船を出す

まずは私のミッションについて説明します。

単刀直入に言えば “舵取り” 役です。
右に行くか左に行くのかを判断したり、とある領域で少しヘルプが欲しいとなれば、その領域を得意とされている方を探して交渉したり、コミュニケーション(認識)にズレがありそうと感じたら、論点を整理しながら、調整役を行っています。つまり、賛同者が着地点を見失わないように、そしていずれ必ず出てくる障壁を乗り越えることができるように工夫を凝らすのです。
これを実現するために知恵を、そして時には肉体的な力を出しながらも、着地点に向かって船の “舵取り” をしているのです。

前記に “ヘルプが欲しい領域を得意とされている方を探して交渉” とありますが、実際のところ、どのようなリソース(企業、研究者、エンジニアなども含め)をお持ちの方々に協力・賛同頂く必要があるのでしょうか。
現段階では大きく3つの役割を担っている方々にご協力いただいております。

1つ目はビジネスサイドでデータ分析しながら何か課題を解決したい、または新しい見方で取り組んで行きたいと考えておられ、かつ、ビッグデータを保有されている企業です。この場合、具体的にはショーケース・ティービー社がそれに当たります。
2つ目はAIエンジン・プラットフォームを開発するために必要な数理モデル(アルゴリズム)を考えて頂く方です。今回は滋賀大学のデータサイエンス研究センターの教授に構築していただいております。なお、その先生はモデルパラメーターの推定方法や検定統計量の研究に取り組んでおられる第一人者です。
そして最後の3つ目は、その数理モデルを理解した上で、そのモデルを実装するAIエンジニアです。AIエンジニアのK氏は、これまでAIエンジン(プロダクト)の開発をいくつか経験されており、米国MITで学んで来られた方です。

いずれも現プロジェクトに欠くことのできない、大切な三要素です。

我々の航海は「クラスタリング」を用いた旅となる

ここからは “航海の旅” に出るための準備の話をいたしましょう。

まずはこの “航海の旅” で何をするのか、そしてどこへ向かうのかを決める必要がありました。
AIとは決して「ドラえもんのポケット」のようにいきなり使えるシロモノではありません。過去の膨大なデータを基に、機械が学習して初めて使えるものに成長させていくのです。

それによって何を実現できるのかとなると、4つぐらいに大分できます。

  • 画像認識
  • 予測
  • クラスタリング
  • 言語処理

ここで、現在保有しているデータと、それを使って解決したいシナリオによって何を行いたいのか、何ができるのかが見えてきます。
今回のプロジェクトでは「クラスタリング」に特化したモデルを構築することにしました。
これは基本中の基本なのですが、実際に携わっていないと意外と分からないのかもしれません。

次に「クラスタリング」を用いて何を行うか、方針策定しなければなりません。つまり、どの手法・どの方法で行うかというのを決める必要があるのです。
ここで、どういった構想にしたいのかという “船長の判断” が重要になってきます。少し哲学に近いかもしれませんね。

今回の「クラスタリング」に関するモデルは、極めてスタンダードなモデルにすることに決定しました。
モデルを複雑化にはいたしませんし、詰め込んだりもいたしません。
この考え方(構想)は、非常に日本的な思想だと思っています。

ただそれだけでは同様の「クラスタリング」を用いたプロジェクトとの差別化も図れませんし、面白くもありません。
そこで、そのスタンダードなモデルを深掘りしていくような「クラスタリングを行うためのモデル生成」の部分(=エンジン)を、AIのプラットフォームに搭載していくことになるでしょう。
この構想はビジネスサイド、大学の先生、AIエンジニアの方の全員に賛同頂き、その方向性で “船出” することになりました。

“ブラックボックス” を必要以上に恐れぬ寛容性を持つ船長に

私はAIはある意味、“ブラックボックス” だと思っています。
なぜなら、人間に代わり機械が学習する領域が “ブラックボックス” そのものであるからです。

例えば囲碁や将棋といった勝負の世界に進出してきたAIは、ヴァーチャルな相手と何百万回も対戦しながら打つ手を考え、そしてベストな解を見つけていきます。
この “何百万回も対戦しながら打つ手を考え” といった部分に関して、どのように機械が学習し、何を学んできたのかを人間は分かりません。
ただし、最初に機械に「このように学習をしてね」という導入部分の指示やカリキュラムまでは、“ブラックボックス” になっていないと推察しています。
いずれはそれすらも……、とは考えることもできますが、現段階では人間の “AIを用いる” という意識決定が発端となっておりますので、何でもかんでもAI主導とはならないことを願っております。

もう少し分かりやすくご説明してみましょう。
子を持つ親御さんであれば、自分の子供に特色のある小学校や塾、またはカリキュラムという教育を与えていると思いますが、自分が預けた場所の教育哲学や思想までは把握していないというケースがほとんどなのではないでしょうか。
結果、「良い成績を収めてきたからそれで良かった」、または「ハーバード大学や東京大学に合格できたから良かった」といった “結果だけが良かった” ということに、私は違和感を覚えるのです。

しばしば「AIがモンスターを生む」というキャッチーなフレーズを聞いたことはありませんか?
もし、本当にモンスターが誕生するのであれば、自分が分からない領域があるから “暴走する” といった表現をしてしまうのかなと推察しています。
少なくとも自分の子供にはモンスターになって欲しくもないですし、同時に良い結果を出して、羽ばたいて欲しいという気持ちは私の正直な親心です。

そして我が子同様に、AIに対しても思うのです。

最後にこの構想が出てきたのは決して私だけの発想でなく、ビジネスサイドからのニーズや課題を発端に出てきたものです。
あくまでも私のミッションはそのニーズや課題を航路に配置し、それを具現化にしたという感じです。

さぁ、我々は港(東京湾)を出港しました。
これからアメリカ西海岸(カルフォルニア)に向かっていくイメージです。
どんな船旅になるのでしょうか。次回に続く。。。

和田 温

和田 温

AI事業プロデューサー at コグニロボ株式会社
米国インテリジェンス・コミュニティの方法論を取り入れたAIソリューションを日本市場に展開。

eBay米国本社(San Jose)カスタマーケアから、eBayJAPANの立ち上げに参画。CTC(伊藤忠テクノソリューションズ)では、主に北米での新製品を開拓に従事。現在、コグニロボ株式会社 代表取締役。ソーシャル・サイエンス(社会科学)における大学院修士課程修了。
和田 温

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