CTO、会社やめるってよ

CTO、会社やめるってよ

最近の流行をリサーチするのに、大学生になったばかりの娘から情報収集するようになった、子だくさんCTOの下駄(弓削田)です。

マーケティング用語として一般的になった、いわゆる「F1層」世代の女子高生から20代前半の女性は、トレンドのキャッチスピードがとにかく速いですね。僕が知らない情報をテレビで発信していても、娘にとっては既知の情報だったなんていうこともザラにあります。
まったくRSSやらSNSを駆使して情報収集している自分は、一体何を調べているのかと頭をよぎってしまいますね。

さて、ここからはいささか衝撃的なタイトルの記事に関して説明していきます。

10年ひと昔

そんな私もショーケース・ティービーに入社して、およそ10年が経過しました。

この10年の間に、1人しかいない開発部門で1人で商品開発をし、やがて部員を増やし、そんな彼ら・彼女らを教育し、東証一部上場に至りました。10年間で構築された基盤は、今でも大きく変わることなく運用されています。


今では考えられない “少数精鋭” の人員体制ながら、黙々と開発を進めていた(2009年撮影)

早いようで短かった10年ですが、僕が個人的に得られたモノはとても大きく、この度、起業するということを志した次第です。

この10年を振り返る

10年前はまだスマートフォンも無く、ウェブページはFLASHが最先端技術として、マルチメディアやWeb2.0、ユビキタスなどのバズワードに振り回されていたことを思い出します。

開発作業で一番記憶に残っている経験は「マルチブラウザ対応」です。
IE6というレガシーの代表格ブラウザは、WEBエンジニアの最も犬猿しがちなブラウザでした。IE6は他ブラウザと仕様が異なる点が多く、この “仕様違い” に何度も悩まされました。夜通し作業を実施していた経験は、今ではいい記憶として鮮明に覚えているほどです。
結果的にブラウザの移り変わりに応じて「マルチブラウザ対応」を都度実行してきたことが、ショーケース・ティービーの発展に繋がったのではないでしょうか。

時を経て、スマートフォンが登場。
まだ普及率も大したことではない時代に、「これからはスマホだ!」と会議でみんなが言っていたのを強く覚えています。そして、そのスタートダッシュを切ることができたのは、今でも非常に良い経営判断だったと思っています。

営業部門と開発部門

僕の開発人生は20年以上になります。
ショーケース・ティービーがこれまでの開発部門と違っていたのは、営業部門との結び付きが強固であったことでした。

実際にお客様のところに足を運んで要望を聞いたり、改善案を聞いたり、中には苦言をいただくといったこともありました。
これら活動がマーケットインという市場に強い製品を生む糧となり、通常の開発業務だけでは得ることがなかった視点を開眼させてくれたといっても過言ではありません。

一般的な開発員の場合、技術に貪欲なことが自己モチベーション向上に繋がるケースが多いことでしょう。しかし、会社という大きなくくりの中で成果を出すには、外部のお客様の声を直に聞き、自分の言葉で答えてあげるというコミュニケーションが重要でした。お客様と真正面から向き合うということが、会社の成長、そして自身のスキル向上に繋がるということを、CTOとして改めてお伝えしたいです。
営業部門から又聞きした顧客意見よりも、自分で直に聞いた “声” は何者にも変え難く、そしてその “声” の信憑性の高さを味わってほしいと考えています。

ショーケース・ティービーで最も売れている「フォームアシスト」というサービスを、金融業界で一番最初に導入いただいた企業の課長(当時)だった方と、導入から数年たってお会いする機会がありました。その時には非常に高いポジションの役職に就かれており、こんなことをおっしゃっていただけました。
「フォームアシストを導入したことで、実績が出せました。おかげさまで昇格することもできました」
というお礼を目の前で聞いたときには、鳥肌が立つぐらいうれしかったですね。


「フォームアシスト」リリース一周年を全社員でお祝いした一コマ。ロウソクの総数が多いのはご愛嬌(2009年撮影)

実際に自分の作ったサービスが、人の人生をプラスに変えたなんて、なかなか経験できるものではありません。
モノ作りをする立場の人は、こうした経験をより多く積んだ人が、モノ作りとしての思考性もスキルと同時にアップするのだと思います。

これからのショーケース・ティービー

今のショーケース・ティービー開発部隊(正式名称:イノベーションテクノロジー本部)は、将来有望な若いメンバーやスキルの高いスペシャリストも揃ってきました。

メンバー全員が素晴らしいサービスを世に送り出そうと頑張っています。
誰に指図されて始めたわけでもない有志による読書会 ――
新たな技術を探求する姿勢を持つメンバー ――
テスト・検証などが本当に得意なメンバー ――

他社がエンジニアスキルを維持・向上させるのに困っている中、非常に高いレベルのスキルを有しているメンバーが多く、エンジニアの先輩として頼もしくもあります。

組織と技術と未来と成長

ショーケース・ティービーでは、「誠実、挑戦、成長」を全社員のフィロソフィーとしています。
この言葉は僕も企業にとって非常に重要な要素であるとともに、ショーケース・ティービーという会社を表現している言葉である思っています。

上場会社となった会社は成長し続けなければいけないという使命を持つことになりますが、成長が見込めないモノに対しては何の魅力もありません。
未来に向かって成長し続けることは企業に限った話ではありません。人間として “成長” は欠くことのできないピースであると、心底思うようになりました。

そして、組織が未来に向けて成長するために最も大切な要素が「技術」だと考えています。
ここでいう「技術」とはテクニカルな意味合いの「技術」もそうですが、日々の個人的な小手先の作業「技術」であったり、思考性としての考えるという「技術」も含まれています。
こうした「技術」が向上することで誰でも自分の成長を感じられますし、喜びを感じ、喜びを分かち合えるポイントとなるのではないでしょうか。

こうしたことを深く教えてくれる会社は本当に貴重だなぁ~と、心底思うのです。


趣味でも実践している「電子工作」が業務に紐付いた瞬間。表情のすべてを読み取ることはできないものの、ニヤけている雰囲気は伝わるのではないだろうか(2010年撮影)

あえて『独立』を選択した経緯

僕はショーケース・ティービーで経験したことを活かし、この会社ではできなかったことなどを実現していきたいと思うようになりました。つまり、成長していくために、あえて『独立』という道を切り拓いて進もうと考えたわけです。

数年前までは『独立』なんて考えられもしませんでした。かなり不安が強く、踏み切ることができなかったのです。
しかし、今年に入って何名かの社外の人と出会い、そして将来の話をするにつれ、僕の中で沸々と独立指向が高まってきたのです。そして、このタイミングで『独立』を宣言させていただいた次第です。

心残りは今まで一緒に働いてきたメンバーのみんなと別れること。
年下なのに個人的に尊敬できる存在だったメンバーや、一緒にいると元気をもらえるようなメンバー、自分の道を軌道修正してくれるようなメンバー……、ここでは挙げきれないほど大切なメンバーたちがいます。

「世の中を渡り歩いていくのに重要なのは “人との繋がり”」とはよく聞きますが、ショーケース・ティービーに入って改めて実感することができました。
自分で道を切り拓くという選択ができるになったのもこの会社にいたから、そしてこの会社に誇れるメンバーたちがたくさんいたからだと思います。


bitWave上で実施したエイプリルフール企画での一コマ。こういったユーモアに対しても柔軟に対応してくれるのが、人格者たる所以なのではないだろうか(2017年撮影)

これまで起業する人の心境を考えることはありませんでした。
しかし、実際に自分がその立場になって、「こんなに面白いことを、何故もっと早くやれなかったのか……。思い切りよく踏み出せなかったのか……」と思うこともしばしばあります。
今まで気乗りしなかった企画書の作成など、やることは山積みなのですが、今はやることなすこと全部が新鮮で面白くて仕方ないという心境にまで達しています。

感謝の気持ちとともに、これからもさらなる “成長” を宣言します

これまで色々な形で接してきたショーケース・ティービーの中の人達に、心から感謝をしています。
また、ショーケース・ティービーという会社と僕個人を慕ってくれた関連会社の方や取引会社の方など、感謝の気持ちを挙げたらキリがないほど感謝の気持ちでいっぱいです。


弊社社長と握手をしているワンシーン。カメラ目線なのが気になります……(2009年撮影)

恩返しはこれからの僕の “成長” をもってさせていただこうと考えていますので、これからも変わらぬ関係性を続けていけたら幸いです。

本当にありがとうございました。

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