iOS9コンテンツブロッカー騒動にみる5つの思惑

iOS9コンテンツブロッカー騒動にみる5つの思惑

iOS9のコンテンツブロッカーは、事実上の広告ブロック機能です。大きなシェアを持つiOSが「速度改善」「UX改善」と謳いつつも、Appleが広告排除を始めれば、それは広告業界にとって大きな痛手になります。

絡み合う4者の思惑

4者とは「媒体(広告掲載先)」「広告配信業者」「広告主」そして「エンドユーザー」です。そして、それぞれが、この「コンテンツブロッカー」に大きな興味を持っていることを体感しました。

というのも、本ブログのricemanが書いたiOS9のコンテンツブロッカー対策方法iOS9新搭載 強力すぎるコンテンツブロッカーの設定が、iOS9リリース日の9/17(1日間)で3,000PV以上を稼ぎだすという状況を作ったからです。

3,000PVは大したことないとは思いますが、本ブログにとっては通常の10倍以上のアクセスであり、世間の興味がいかほどに高いか、容易に推察できます。

媒体にとっては死活問題

一番大きなダメージを受けるのは媒体でしょう。

コンテンツブロッカーというとネガティブですが「ニュースサイト爆速アプリ」とすると興味を持ってダウンロードする人も増えるのではないでしょうか。

実際のところはメージャー媒体の広告コードのみをブロックするというシンプルなブロックであっても、速くなるのは事実です。

しかし、これをされると収入源を失う媒体も非常に多いのではないかと思います。

広告配信業者と代理店にとってはシステム問題

配信面のPVが一気に減った場合、当然ながら広告配信業者は方針変更せざるを得ません。1つ、2つならともかく、複数が一気に減ったら問題になります。

適応できるようにするまで、システムの改修を迫られる状況も出てきます。

また、非表示状態なのに表示扱いになっていたら(一部なっているらしい)、これも大問題です。営業面の収益源もさることながら、システム変更等の対応は、かなりヘビーになるかもしれません。

参考:「広告ブロック」に危機感募らせる米ネット広告業界、訴訟やユーザー遮断の強硬策までも飛び出る

広告主は売り上げダウンの可能性も

特にスマートフォンの場合、多くの収益は広告に依存している部分も少なくありません。ECサイトでは、その傾向が顕著になります。

さらに解析ツールを遮断される可能性もあります。タグマネージャーなどを使用していた場合、一網打尽です。

ユーザにとってコンテンツに関係のないアクセス解析、広告トラッキングなどのタグは「不要なもの」でしかなく、それを消すことで速くなるなら、躊躇う理由などありません。

ユーザーにとってはメリットしかない

実際のところ、ユーザにとってはメリットしかありません。

・記事は高速で読み込まれる(4倍とも言われる)
・誤タップから解放される
・パケットを節約できる
・上記によってバッテリーにも少なからず寄与する

広告を表示することに相応のメリットがない限りブロックしたほうが良いわけです。

現状あるコンテンツブロッカーにもブロック項目に「トラッキング」とあるものが多く、プライバシー問題で過敏になっているユーザーは導入を躊躇しないと思われます。

今の所は操作性の問題で影響は控えめになる

広告業界にとって唯一の救いは、デフォルトではコンテンツブロッカーという表示は出ていないことです。

少なくとも1つ以上のコンテンツブロッカーを導入しないと「コンテンツブロッカーという表示は出ません。」

とは言っても、「爆速」「快適」と聞けば導入する人も少なくないでしょう。そうそう長くは続かない期待に思われます。

第5のプレーヤー

上記の4者の思惑に加え、アプリ制作者という第5の勢力があります。彼らは、「新しい」そして「ユーザの関心が高い」、さらに「コンテンツの2次利用に反対する集団の支援」によって、「コンテンツブロッカー」対応のアプリ制作を積極的に進める可能性があります。

一時期、2ちゃんねるの2次利用に対して「嫌儲」などの動きが見られましたが、それと似たようなコンセプトのアプリが出てくるとも考えられます。

Appleのコンテンツブロッカーは仕様が絶妙すぎる

コンテンツブロッカーを調べていくうちに、この自由度の高さは、かなり大きな影響を産むだろうと感じました。

広告ブロックではなく文字通りコンテンツブロックなのです。

Appleの審査が通れば、基本何でもできます。例えば「2次利用を表示させないアプリ」、「特定のサイトへのアクセスを遮断する(アクセスしても何も見えない)」アプリなど。

ブロックという名を有していながらも、サイバー空間の危険性を考慮すると、まるで「警察」のような頼もしささえ感じてしまうポジティブな印象を与えることも容易なわけです。

弊社もアクセス解析や広告関連サービスを提供しているだけに他人事ではない「コンテンツブロッカー」。

ユーザーと業界がウイン&ウインになるためにどうすべきなのか、改めて考えてみようと思った次第です。

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