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このところ注目されていた5Gの商用利用ですが、ドコモ・au・ソフトバンク、そして「第4のキャリア」となる楽天モバイルは、2020年内に5Gの通信サービスを開始する見通しとなりました。
5Gでは現行の4G/LTEよりも高速な通信が可能となり、その差は100倍とも言われています。光回線すら霞んでしまいそうですね。
そんな5Gですが、総務省が決めるキャリアへの周波数の割り当てが話題になっています。なんと、ドコモとauが希望通り3枠を確保した中、ソフトバンクは2枠しかもらえなかったそうです。
このページでは、5G電波割り当てから見るキャリアの差や、今後の影響についてまとめていきます。
画像引用元:SoftBank 5G | モバイル | ソフトバンク
1 5Gの利用には総務省の認可が必要
電波というのは限られた資源ですから、誰もが勝手に使えるわけではありません。
また、電波だけではなく、電波を利用するスマホのようなデバイスですら、実は総務省の認可がなければ日本で使えないものなのです。
最近の何かと話題になっている5Gの利用についても、当然ながら総務省の認可が必要となります。
そこで、総務省は利用できる5Gの枠を以下のように用意しました。
- 3.7GHz帯/4.5GHz帯:6枠
- 28GHz帯:4枠
この合計10枠を、ドコモ・au・ソフトバンク、そして今年から新規参入して「第4のキャリア」となる楽天モバイルにどう振り分けられるのかが、注目されていたのです。
1-1 ソフトバンクが椅子取りゲームに負けた!?
- 3.7GHz帯/4.5GHz帯:6枠
- 28GHz帯:4枠
これらのうち28GHz帯については、各社の希望通り1枠ずつ割り当てられることになりました。4枠を4社で分け合うという平和的な形ですね。
しかし、3.7GHz帯/4.5GHz帯の6枠については、ちょっとした波乱があったのです。
- ドコモ:1枠
- au:1枠
- ソフトバンク:1枠
- 楽天モバイル:1枠
そして各社3.7GHz帯/4.5GHz帯については以下のような希望を出していました。
- ドコモ「2枠ください」
- au「2枠ください」
- ソフトバンク「2枠ください」
- 楽天モバイル「1枠ください」
3.7GHz帯/4.5GHz帯は6枠しかないのに、合計7枠の希望があったのです。
このうち楽天は1枠しか希望していなかったため、すんなりと通りました。問題は2枠ずつ欲しがっているドコモ・au・ソフトバンクです。
枠の関係上、3社による椅子取りゲーム状態となり、最終的には次のように割り振られました。
- ドコモ:希望通り2枠獲得
- au:希望通り2枠獲得
- ソフトバンク:希望かなわず1枠のみの獲得
- 楽天モバイル:希望通り1枠獲得
つまり、ソフトバンクの「一人負け」という結果になったのです。
- 5Gは4G/LTEの100倍速とも言われる新通信
- 5Gを扱うには総務省の認可が必要
- 合計10枠を4社に割り当てることに
- 新規参入の楽天モバイルは2枠を獲得
- ドコモ・auはそれぞれ合計3枠を獲得
- ソフトバンクは希望かなわず2枠だけに
2 キャリア間に明確な差が出る
合計10枠の5G割り当ては、最終的に以下のようになりました。
- 3.7GHz帯/4.5GHz帯:2枠
- 28GHz帯:1枠
- 3.7GHz帯/4.5GHz帯:2枠
- 28GHz帯:1枠
- 3.7GHz帯/4.5GHz帯:1枠
- 28GHz帯:1枠
- 3.7GHz帯/4.5GHz帯:1枠
- 28GHz帯:1枠
改めて見ると「1軍と2軍」という印象すら抱きかねない結果ですね。特に、まだ参入前の楽天モバイルとソフトバンクが「同格」のような扱いになっているのが衝撃的です。
次の章では2枠しかもらえなかったソフトバンクと楽天モバイルの課題と、その影響について考えます。
2-1 ソフトバンクと楽天モバイルへの「課題」
希望がかなったドコモ・auと、希望を却下されてしまったソフトバンク。一体その差はどこにあったのでしょうか。
総務省は、それぞれの5Gへの取り組みを査定して、評価の高いキャリアから優先的に割り当てたと説明しています。
例えば「都市に限らず地方部にも、サービスを普及させる用意があるか」などが評価されたそうです。
つまり、総合的に見たとき、ソフトバンクは5Gへの取り組みが甘いと判断されたと言えます。また、去年12月に起きたような、重大な通信障害の再発防止も要求されました。
ちなみに楽天モバイルには、基地局の増設や資金の確保など「第4のキャリア」となるための基礎固めが求められたとのことです。
2-2 これは「差別」?「妥当」?
結果だけ見ればドコモとauが優遇され、ソフトバンクと楽天モバイルはそれよりも下の扱いを受けた形となっています。
これから新規参入する楽天モバイルについては、仕方のない部分もあるでしょう。
しかし、ソフトバンクといえば今やだれもが知っている、大手キャリアのうちの1社です。今回の結果は果たして本当に妥当なのでしょうか。
敗因は5Gへの取り組みと18年の通信障害
各社の5Gに対する取り組みの優劣については、正直なところ外部から正確に判断できるものではありません。
しかし、各社が総務省に申請した5Gへの投資金額を見ると、次のようなっていました。
- ドコモ:7,950億円
- au:4,667億円
- ソフトバンク:2,061億円
- 楽天モバイル:1,961億円
ソフトバンクと楽天モバイルの投資額は、ドコモ・auと比べると控えめです。
また、ソフトバンクは18年12月6日に、一般ユーザーに多大な影響を与えた大規模な通信障害を起こしています。まだ記憶に新しい方も多いのではないでしょうか。
あの日、ソフトバンク回線は13時39分に突然通信不能となりました。復旧したのは18時04分。つまり、ユーザーは実に4時間25分間も「圏外」に晒されていたのです。
真っ昼間に起きた通信障害ということで、その影響は多大でした。障害発生から1週間もしないうちに、解約件数が2万件に及んだともいいます。
総務省がこの件を重く受け止めていたことも、今回の判断に影響したのでしょう。
2-3 5Gへの割り当て格差、今後に影響はある?
5Gの枠を3枠もらえたドコモとau。それに対し、2枠しかもらなかったソフトバンクと楽天モバイル。今後、この差がユーザーに影響をもたらすことはあるのでしょうか。
もっとも5Gの商用利用はまだ先の話です。これから大きく情勢が変わる可能性もあるでしょう。しかし、現状だけを見て判断すれば、ユーザーにはかなりの影響があるはずです。
まず単純に、枠の数は多ければ多いほど、通信のカバーエリアも広がります。つまり、ドコモとauは、ソフトバンクと楽天モバイルよりも広範囲をカバーできるようになるということです。
その結果、特に地方部では「ドコモかauでしか5Gを使えない」という場面が出てくるかもしれません。
そうなると、既存のソフトバンクユーザーの他社への流出や、ドコモ・auユーザーが乗り換え先としてソフトバンクを選択しない、という現象すら起こり得ます。
- ドコモとauは3枠を獲得、ソフトバンクと楽天モバイルは2枠のみ獲得
- ソフトバンクは5Gへの投資額を含め、ドコモとauにはまだ劣ると判断されてしまった
- ドコモとauが5Gで大きくリードか
3 純粋な通信技術・通信サービスで競う新時代に突入か!
今回の5G割り当ては、これからのキャリアの在り方を占う重要なものとなりそうです。
これまでのキャリアは、どちらかと言うと純粋な通信技術やサービスよりも「売り方」に注力している印象がありました。
しかし、通信料金と端末代金を明確に区別する「分離プラン」が義務付けられ、5Gの商用利用も目前となった今、各キャリアは本分である「通信」に注力せざるを得ません。
5Gは必ずブームになります。ユーザーは通信の質をこれまで以上に気にするようになるでしょう。
勝負はここで決したわけではない
ドコモとauがいきなり大きくリードする形となりましたが、このまま優勢を維持できるのか、それともソフトバンクと楽天モバイルが猛追するのか。
特にソフトバンクにとっては、今回の割り当ては屈辱的なはず。ドコモとauに追いつき追い越すつもりで、通信に磨きをかけていくことでしょう。
また、楽天モバイルにとっては難しい時期の参入になるかもしれません。
同社は楽天スーパーポイントの付与や楽天市場での優遇という武器も持ってはいますが、そういったおまけ的サービスの訴求力は意外に低い可能性も。
今後、ユーザーが重視するであろう要素は、プラスアルファのサービス内容ではありません。「確かな通信技術を有しているのか」です。
それゆえに、楽天モバイルは、ソフトバンクのキャリア参入時よりも厳しい目で見られるかもしれません。
電気通信は、これからもますます国民にとって欠かせない分野となっていきます。各キャリアは今後も電気通信事業者としてのあるべき姿を問われ続けることになるでしょう。
- 5Gを使える10枠を4社に割り当てられることになった
- ドコモとauは3枠、ソフトバンクと楽天モバイルは2枠となった
- ソフトバンクは5Gへの取り組みや現状の体制が甘いと判断された
- 今後は各社が通信技術・サービスを軸に競い合うことになりそう