A14 Bionicチップの性能を解説|ベンチマークの点数やA12Zとの比較も

  • 2020年9月28日
  • by.ssisdk

A14 Bionic

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毎年秋の恒例行事となったAppleスペシャルイベントは、最新のSoCであるA14 Bionicチップを搭載した新型iPad Airの発表など、見所あるイベントとなりました。

2020年は新型コロナの影響でiPhone 12のお披露目はお預けになってしまったようです。

ですが既にA14 BionicチップのベンチマークはAntutuによりリークされており、先代SoCやiPad Pro用のA12Zと比較するリーカーも出ています。

果たしてA14 Bionicチップの性能はどうなのでしょうか?

また、A14 BionicはiPhone 12に搭載されるのか、比較と予想をしてみました。

A14 Bionicチップの性能アップのポイント
  • A13 Bionicから性能を底上げ
  • 集積度を上げ、処理速度を向上
  • トランジスタ数が30億増加
  • 機械学習がより効率化
  • 効率の良い省電力で5Gに対応

トップ画像引用元:iPad Air – Apple(日本)

A14 Bionicとはどんなチップなのか

Apple Music利用イメージ

画像引用元:Apple(日本)

そもそもA14 Bionicは、Appleのデバイスに搭載される最新SoC(System on a Chip)のことで、主にiPhoneやiPadに搭載されているチップです。

ベンチマークの点数は先代A13 Bionicのチップを搭載したiPhone 11 Pro Max級なので、スペック自体が劇的に変化した訳ではありません。

元々A13 BionicやA12Zの時点でサクサク動作して快適に使えるスペックだったので、これ以上のスペック上昇はユーザーが体感しにくいという背景もあります。

それよりも、来たる5Gの普及に向けて、電力を無駄なく消費したり集積度を向上させて効率良く処理させるようにしたチップと言えるでしょう。

前評判はお世辞にも高いとは言えない

A14 Bionicチップはベンチマークの点数こそ先代A13 Bionicとほぼ同じとリークされており、情報が確かなら単純なスペックではiPhone 11と同じになります。

この情報を受けて「最新のSoCと言うには期待外れ」「Androidの最新Snapdragonの方が性能は良い」「iPad用のA12Zを搭載した方が良かったのでは」と酷評する声も少なくありません。

では、本当にA14 Bionicチップは酷評されてしまうチップなのでしょうか?

性能を見てみましょう。

A14 Bionicチップの概要
  • Apple製品に搭載されるSoC
  • 同時発表のiPad Airは搭載確定
  • 処理速度が向上
  • トランジスタ数が30億増加
  • ニューラルエンジンが2倍に増加
  • ベンチマークはA13 Bionicとほぼ同じ点数
  • iPhone 12にも搭載されると噂

A14 Bionicの性能

A14Bionicチップ

画像引用元:iPad Air – Apple(日本)

まずはA14 Bionicの性能から見ていきます。

2020年に発表されたA14 Bionicチップと2019年に発表されたA13 Bionicチップを比較すると、下記表のようになります。

比較項目A14 BionicA13 Bionic
演算回数毎秒11兆回毎秒5兆回
プロセスルール5nm7nm
トランジスタ数118億85億
CPU構成4つの省電力コア
2つの高性能コア
16コアニューラルエンジン
4つの省電力コア
2つの高性能コア
8コアニューラルエンジ

A14 Bionicチップで特に見るべき点は以下の3点です。

A14 Bionicチップのポイント
  • 集積度の向上
  • トランジスタ数が30億以上増加
  • ニューラルエンジン数が2倍に増加

ベンチマークの点数は57万台とフラッグシップ級のスマホに搭載される数値となっており、単純な処理能力の高さでは間違いなく一線級を誇っています。

iPad Pro等のプロ仕様のA12Zには処理能力が一歩劣るものの、演算回数やニューラルエンジン数では勝っているのは、今後搭載されると噂のiPhone 12が機械学習効率の良さに期待できそうです。

プロセスルール7nmから5nmとなり集積度が向上

A14 Bionicチップは先代のA13 BionicやA12Zで使われていたプロセスルールが7nmから5nmへ、GPUも新設計され集積度が向上しました。

集積度の向上はSoCに搭載されているチップの伝達がより速くなり、結果として処理速度の向上をもたらしています。

Apple発表によると

  • 40%の高速化
  • GPUも30%高速化
  • CPUの速度も10倍高速化

と、A14 Bionicチップの処理の速さに自信を持っているようです。

ただ、ベンチマーク点数はA13 Bionicから大幅に伸びていないので、単純な処理能力は大きな違いは無いという評価もあります。

トランジスタ数が30億以上増加

A14 Bionicチップに搭載されているトランジスタ数は118億個で、A13 Bionicの85億、A12Zの100億より多いトランジスタを搭載しています。

増加したトランジスタはパフォーマンスの向上と電力効率を上げることに重みを置いており、より使い勝手の良いiOSデバイスになると思われるでしょう。

ベンチマーク点数がA13 Bionicと大差ないこと、iPhone 12が消費電力の激しい5G対応と予想されるので、効率良くバッテリーを使う点に重視したチップになります。

ニューラルエンジン数が2倍に増加

A14 Bionicチップのニューラルエンジン数は、A13 BionicやA12Zの8個から16個へと倍増され、更に機械学習能力を高めているのも特徴です。

第2世代の機械学習アクセラレータも搭載したので、機械学習の演算が約10倍速くなったとAppleは発表しています。

機械学習の演算が速くなれば、より画像認識や言語学習、センサーなど動きの分析が強化されるので、従来より使いやすくなるでしょう。

総評するとA14 Bionicはベンチマークの点数を追求するより、ユーザーの使いやすさに重みを置いたチップのようです。

iPhone 12に搭載されるかは未定

ここ数年は毎年秋のAppleスペシャルイベントで新型iPhone発表・新型iPhoneに搭載される最新SoCも同時発表という流れを組んでいました。

2020年は新型コロナの影響を受け、新型iPhoneの発売が遅れることは事前にアナウンスされました。

実際にAppleスペシャルイベントでは新型iPad Airの発表などに留められ、新型iPhoneについては発表されず終了しました。

ただ、iPhone 11・iPhone SE(第2世代)と同じチップを搭載するとは考えにくく、ベンチマークスコアの良いA12Zは主にiPad Pro用なので、iPhone 12はA14 Bionicチップを搭載する可能性は極めて高いと見て良いでしょう。

A14 Bionicチップの性能
  • プロセスルールが7nmから5nmと集積度が向上
  • トランジスタ数が30億増加
  • ニューラルエンジン数が2倍
  • パフォーマンス・電力を効率的に使用可能
  • 機械学習能力も強化
  • 利便性重視のチップ

A14 BionicのAntutuベンチマーク点数

Antutu

画像引用元:‎「安兔兔评测—硬件检测、跑分」をApp Storeで

実際にA14 BionicのAntutuベンチマークがどのくらい点数なのか、気になるところです。

ちなみにAntutuベンチマークとは「SoCがどれだけの性能を持っているか」の指標で使われる点数のことです。

なんと、A14 Bionicは57万点台のスコアを出しています。

A14 Bionicのベンチマーク点数
  • Antutuスコア:57万点台
  • CPU:16万点台
  • GPU:22万点台
  • MEM:10万点台
  • UX:8万点台

このスコアはiPad Proに搭載されているA12Zには及ばないものの、フラッグシップ級スマホとしては合格点です。

しかし、A13 Bionicが52万台というベンチマーク点数を出しているので、今回のA14 Bionicチップも高評価という結果には終わりませんでした。

最新のSoCとしては不十分と評されている

Antutuベンチマークの結果が公表されると、A13 Bionicと比較して大きく向上していないことから、A14 Bionicチップの性能は期待されていた割には不十分と評されています。

リーク情報元として有名なIce universe氏は自身のTwitterで「A14のパフォーマンスは期待外れ、このスコアはSnapdragon865+より低い」と評するほどです。

実際、Antutuのベンチマーク点数で比較するとA14 Bionicが57万点台に対し、Snapdragon 865を搭載したAndroidのROG Phone 3は61万点台です。

A13 Bionicと大差なくA12Zの方が高いスコアもあるので、集積度の向上・トランジスタ数が30億増加といったインパクトの割には肩透かしを食らった方も多いようです。

ただ、Antutuのベンチマーク点数はiPhone 12 Pro Maxの最終バージョンで実行されていない可能性もあり、それでスコアが伸びなかった点もゼロではありません。

スペック勝負ではなく省電力・機械学習を強化したか

A13 BionicやA12Zと比較してベンチマーク点数が大きく伸びなかった点から評価がいまいちのA14 Bionicですが、見方を変えればベンチマーク点数=単純なスペック勝負の土俵から降りたとも見られます。

何故ならA14 BionicチップはニューラルエンジンコアをA13 Bionicから2倍に増やしているので、スペック向上よりも省電力や機械学習性能をより強化する方向性に持っていったとも判断できる訳です。

元々A13 Bionicチップの発表時からして、省電力機能とマシンラーニングについて重点的に説明しており、スペック向上に重みを置く方向性から舵を切っていました。

Appleとしては「スペックは若干底上げしつつ、スマホの弱点であるバッテリーの維持と機械学習によりユーザーの使いやすさを向上させる」と考えているのではないでしょうか。

A14 Bionicのベンチマーク結果
  • A13 Bionicからあまり伸びていない
  • 海外のリーク勢からは不十分と評価
  • 省電力・機械学習に重みを置いたか

A14 BionicとA12Z Bionicを比較してみた

iPad Pro

画像引用元:iPad – Apple(日本)

単純なベンチマークではA13 Bionicチップと大差ないA14 Bionicですが、本命の対抗馬に挙げられるのは全モバイルの中でも最速と評されるA12Zです。

A12Zは最新のiPad Proシリーズに搭載されており、iPad Proのスペックを持つSoCと新型iPhoneで夢のコラボレーションを期待する声も少なくありませんでした。

両者を比べてみましょう。

A14 BionicとA12Zの比較結果
  • ベンチマークではA12Z
  • 秒間処理能力はA14 Bionicチップ
  • 機械学習の効率はA14 Bionicチップ
  • 一般向けはA14 Bionicチップ
  • ヘビーユーザー向けはA12Z

ベンチマークではA12Zの圧勝

A14 Bionicチップのベンチマーク点数は57万台に対し、A12Zのベンチマーク点数は70万点台なので、単純な処理能力の高さではA12Zの圧勝です。

元々A12Zはプロのクリエイターが用いるiPad Proシリーズに搭載されているので、一般向けのA14 Bionicで劣るのは当然の結果と言えるでしょう。

ではスペックが劣る以上、A14 BionicチップはA12Zの下位互換なのかと言うと、決してそんなことはありません。

秒間処理能力ではA14 Bionicチップ

A14 Bionicチップの秒間処理数は11兆回、一方のA12Zの秒間処理数は5兆回とA14 Bionicチップの方がA12Zより秒間当たり2倍以上処理できる計算です。

秒間処理数が多いという事は、A14 Bionicチップの方が小さな命令をたくさんこなせることになり、アプリの起動や軽い処理はA14 Bionicの方が優秀と言えるでしょう。

ベンチマークの点数はA12Zの方が優れているので、「瞬発力の優れた短距離ランナー=A14 Bionic、安定した速度を保つ長距離ランナー=A12Z」と例えることも出来ます。

ニューラルエンジン数はA14 Bionicチップ

Appleが力を入れている機械学習をこなす為に必要なニューラルエンジン数、これはA12Zが8個に対しA14 Bionicは16個と2倍以上増えています。

機械学習はユーザーに最適なアプリや機能を提供するだけでなく、デバイスが学習する速度や効率の良さにも影響を与えます。

バッテリーの効率化にもニューラルエンジンは用いられるので、ベンチマークでは測れない使い勝手の良さで、A14 Bionicの方が優秀と判断できるでしょう。

瞬発力に優れたA14 Bionic、長く処理するならA12Z

両者を比較すると甲乙つけがたい結果になりました。

プロやヘビーユーザーにはA12Zを搭載したiPad Proがオススメです。

一方でライトユーザーや一般向けには、動作が軽快なA14 Bionicチップを搭載したデバイスを選ぶと良いでしょう。

A14 BionicはiPhone 12に搭載されるのか

iPhone11Pro

画像引用元:Apple(日本)

2020年9月のAppleイベントではiPhone 12が発表されなかった為、iPhone 12でA14 Bionicチップが搭載されるのか、心配する声も少なくありません。

「ベンチマークの点数が高いA12Zが搭載されるのか?」という噂もありますが、筆者個人の意見ですがiPhone 12にはA14 Bionicチップが搭載される可能性は非常に高いと見ています。

その理由は以下となります。

A14 BionicチップがiPhone 12に搭載される根拠
  • 消費電力が激しい5Gに対応可能
  • A14 Bionicチップは秒間処理数が多いから
  • 毎年最新のSoCが新型iPhoneに搭載されるから

それでは詳しく解説していきます。

iPhone 12が5G対応する場合A14 Bionicチップの省電力は必要

iPhone 12は5Gに対応するらしい」という情報が、数多くリークされています。

これが事実であるなら、消費電力の激しいとされる5Gに省電力を強化したA14 Bionicチップは必要です。

A14 BionicチップはA12Z等と比較してベンチマーク点数は伸び悩んだものの、消費電力を抑えられるので、iPhoneで5Gを利用するなら最適のSoCと言えるでしょう。

5Gは大容量データ通信も可能になりますが、そのデータをiPhone内部で処理する為にも最新のA14 Bionicチップを搭載するとも予想出来ます。

A14 Bionicチップは秒間処理数が多いから

iPhoneの主な用途としてはSNSやWeb閲覧、ゲームアプリで遊ぶといった内容が多く、それらを処理するには1秒間にどれだけSoCが処理できるかが重要です。

A14 Bionicチップは1秒間に処理できる命令数が11兆回、一方のA12Zは5兆回と処理できる命令数はA14 Bionicチップの方が多いというメリットがあります。

ベンチマークの点数はA14 Bionicの方が下回るので、大きなデータの処理ではA12Zの方が有利です。

しかし、iPhoneの主な用途ならA14 Bionicチップの方が向いているのです。

毎年最新のSoCが新型iPhoneに搭載されるから

毎年新型iPhoneが発表される時、iPhone本体だけでなくiPhoneに搭載されるSoCも、世界中のAppleユーザーやメディアに注目されています。

そのような場で「最新のiPhoneは昨年と同じSoCを搭載します」と発表するでしょうか?

新型iPhoneを待ち望んでいる方は落胆してしまうでしょう。

ベンチマーク点数が良いA12Zを搭載する変化球もゼロではありません。

ただ、最新SoC搭載iPhoneというのはインパクトが大きいので、iPhone 12はA14 Bionicチップを搭載すると考えられます。

A14 Bionicチップはスペックより利便性重視!

A14Bionicチップを搭載した新型iPadAir

画像引用元:Apple (日本)

先代A13 BionicやA12Zとベンチマーク結果が大差ない結果なので、正式リリース前にもかかわらずA14 Bionicチップを酷評する声は少なくありません。

しかし、元々A13 Bionicの時点で動作は快適にこなせるので、Apple側としてはA14 Bionicはスペックの向上より利便性を重視したと捉えられます。

特に消費電力が激しくなる5Gの普及に先駆けて、集積度を上げたり、機械学習で効率よく処理させて消費電力を抑えたのは、その方向性を裏付けているでしょう。

最後に9月のスペシャルイベントではiPhone 12は発表されませんでしたが、Appleは10月以降も新製品発表の場を設ける予定と噂されています。

新型iPhone12の発売日も10月半ばごろに予想される声が多いです。

年末年始にかけてiPhone 12が発表も発売も無い、というのは考えにくいので、今後のAppleの動向は要注目です。

A14 Bionicチップの性能アップのポイント
  • A13 Bionicから性能を底上げ
  • 集積度を上げ、処理速度を向上
  • トランジスタ数が30億増加
  • 機械学習がより効率化
  • 効率の良い省電力で5Gに対応
iPhone比較|値段/サイズ/スペックで歴代モデルを比べてみた【2020年】

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この記事を書いた人
ssisdk
ssisdk
東京都出身の某携帯電話事業者のコールセンターで働く合間にWebライターとしても執筆活動中のライター。卒業後延々と携帯電話業界に浸かった結果、ディープな面や表には出ない裏話にも見てしまった男。AndroidとiPhoneの2台持ち推し派。

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