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Appleは2022年10月18日(日本時間19日)のイベントにて、A14 Bionicチップを搭載した新型iPad(第10世代)を発表しました。
A14 Bionicチップは人気iPhoneの中でもiPhone12シリーズやiPad Air(第4世代)に搭載されたチップで、2020年に登場したものです。
iPad(第10世代)に搭載されることで、A14 Bionicチップへの注目度が再び上がっています。
A14 BionicチップはどういったSoCなのか、改めて性能を確認してみましょう。
- A13 Bionicから性能を底上げ
- 集積度を上げ、処理速度を向上
- トランジスタ数が30億増加
- 機械学習がより効率化
- 効率の良い省電力で5Gに対応
- 新型iPad(第10世代)・iPhone12シリーズ・iPad Air(第4世代)に搭載
- 2022年現在でも十分現役のチップ
トップ画像引用元:10.9インチiPad(第10世代) – Apple(日本)
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A14 Bionicとはどんなチップなのか
画像引用元:Apple(日本)
A14 Bionicは、Appleのデバイスに搭載されるSoC(System on a Chip)のことで、主にiPhoneやiPadに搭載されているチップです。
ベンチマークの点数はA13 Bionicのチップを搭載したiPhone 11 Pro Max級なので、スペック自体が劇的に変化した訳ではありません。
A13 BionicやA12Zの時点でサクサク動作して快適に使えるスペックだったので、これ以上のスペック上昇はユーザーが体感しにくいという背景もあります。
それよりも、5Gの普及に向けて、電力を無駄なく消費したり集積度を向上させて効率良く処理させるようにしたチップと言えるでしょう。
A14 Bionicのベンチマークスコアや特徴は?
A14 Bionicチップはベンチマークの点数はAnTuTuによると686,151(iPhone12 Pro)です。
このスコアがどの程度のものなのか、他のiPhoneシリーズと比較してみましょう。
- A16 Bionic:952,596(iPhone14 Pro)
- A15 Bionic:833,339(iPhone13 Pro)
- A14 Bionic:686,151(iPhone12 Pro)
- A13 Bionic:637,385(iPhone11 Pro)
A14 Bionicは後継チップのA15 BionicよりもA13 Bionicに近いスコアです。
A14 Bionicが搭載されているiPhone12 Proを使用していますが、操作していて特に問題はないという感想です。
あくまで体感になりますが、A16 Bionicを搭載したiPhone14 Proとの違いも操作面においてははっきり分かりません。(ベンチマークスコアはかなり違いますが…)
- Apple製品に搭載されるSoC
- A13 Bionicより処理速度が向上
- トランジスタ数が30億増加
- ニューラルエンジンが2倍に増加
- ベンチマークはA13 Bionicと近いスコア
- iPhone12シリーズ・iPad Air(第4世代)・iPad(第10世代)に搭載
A14 Bionicの性能
画像引用元:iPad Air – Apple(日本)
A14 Bionicの性能を細かくみていきましょう。
2020年に発表されたA14 Bionicチップと2019年に発表されたA13 Bionicチップを比較すると、下記表のようになります。
比較項目 | A14 Bionic | A13 Bionic |
---|---|---|
演算回数 | 毎秒11兆回 | 毎秒5兆回 |
プロセスルール | 5nm | 7nm |
トランジスタ数 | 118億 | 85億 |
CPU構成 | 4つの省電力コア 2つの高性能コア 16コアニューラルエンジン | 4つの省電力コア 2つの高性能コア 8コアニューラルエンジ |
搭載モデル | iPad Air (第4世代) iPhone 12 iPhone 12 mini iPhone 12 Pro iPhone 12 Pro Max iPad (第10世代) | iPhone 11 iPhone 11 Pro iPhone 11 Pro Max iPhone SE (第2世代) iPad (第9世代) Apple Studio Display |
A14 Bionicチップで特に見るべき点は以下の3点です。
- 集積度の向上
- トランジスタ数が30億以上増加
- ニューラルエンジン数が2倍に増加
ベンチマークの点数は約70万台とフラッグシップ級のスマホに搭載される数値となっており、単純な処理能力の高さでは間違いなく一線級を誇っています。
iPad Pro等のプロ仕様のA12Zには処理能力が一歩劣るものの、演算回数やニューラルエンジン数では勝っているので、機械学習効率の良さが伺えます。
プロセスルール7nmから5nmとなり集積度が向上
A14 BionicチップはA13 BionicやA12Zで使われていたプロセスルールが7nmから5nmへ、GPUも新設計され集積度が向上しました。
集積度の向上はSoCに搭載されているチップの伝達がより速くなり、結果として処理速度の向上をもたらしています。
Apple発表によると
- 40%の高速化
- GPUも30%高速化
- CPUの速度も10倍高速化
と、A14 Bionicチップの処理の速さに自信を持っているようです。
ただ、ベンチマーク点数はA13 Bionicから大幅に伸びていないので、単純な処理能力は大きな違いは無いという評価もあります。
トランジスタ数が30億以上増加
A14 Bionicチップに搭載されているトランジスタ数は118億個で、A13 Bionicの85億、A12Zの100億より多いトランジスタを搭載しています。
増加したトランジスタはパフォーマンスの向上と電力効率を上げることに重みを置いており、より使い勝手の良いiOSデバイスになると思われるでしょう。
ベンチマーク点数がA13 Bionicと大差ないこと、iPhone 12が消費電力の激しい5G対応しているので、効率良くバッテリーを使う点に重視したチップになります。
ニューラルエンジン数が2倍に増加
A14 Bionicチップのニューラルエンジン数は、A13 BionicやA12Zの8個から16個へと倍増され、更に機械学習能力を高めているのも特徴です。
第2世代の機械学習アクセラレータも搭載したので、機械学習の演算が約10倍速くなったとAppleは発表しています。
機械学習の演算が速くなれば、より画像認識や言語学習、センサーなど動きの分析が強化されるので、従来より使いやすくなるでしょう。
総評するとA14 Bionicはベンチマークの点数を追求するより、ユーザーの使いやすさに重きを置いたチップです。
A14 BionicのAntutuベンチマーク点数
画像引用元:「安兔兔评测—硬件检测、跑分」をApp Storeで
実際にA14 BionicのAntutuベンチマークがどのくらい点数なのか、気になるところです。
Antutuベンチマークとは「SoCがどれだけの性能を持っているか」の指標で使われる点数のことです。
なんと、A14 Bionicは68万点台のスコアを出しています。
- Antutuスコア:68万点台
- CPU:17万点台
- GPU:26万点台
- MEM:11万点台
- UX:13万点台
このスコアはiPad Pro(2020)に搭載されているA12Zには及ばないものの、フラッグシップ級スマホとしては合格点です。
しかし、A13 Bionicが63万台というベンチマーク点数を出しているので、A14 Bionicチップも高評価という結果には終わりませんでした。
SoCとしては不十分と評された
Antutuベンチマークの結果が公表されると、A13 Bionicと比較して大きく向上していないことから、A14 Bionicチップの性能は期待されていた割には不十分と評されました。
リーク情報元として有名なIce universe氏は自身のTwitterで「A14のパフォーマンスは期待外れ、このスコアはSnapdragon865+より低い」と評したほどです。
A13 Bionicと大差なくA12Zの方が高いスコアもあるので、集積度の向上・トランジスタ数が30億増加といったインパクトの割には肩透かしを食らった方も多いようです。
スペック勝負ではなく省電力・機械学習を強化したか
A13 BionicやA12Zと比較してベンチマーク点数が大きく伸びなかった点から評価がいまいちのA14 Bionicですが、見方を変えればベンチマーク点数=単純なスペック勝負の土俵から降りたとも見られます。
何故ならA14 BionicチップはニューラルエンジンコアをA13 Bionicから2倍に増やしているので、スペック向上よりも省電力や機械学習性能をより強化する方向性に持っていったとも判断できる訳です。
元々A13 Bionicチップの発表時からして、省電力機能とマシンラーニングについて重点的に説明しており、スペック向上に重みを置く方向性から舵を切っていました。
Appleとしては「スペックは若干底上げしつつ、スマホの弱点であるバッテリーの維持と機械学習によりユーザーの使いやすさを向上させる」と考えているのではないでしょうか。
- A13 Bionicからあまり伸びていない
- 海外のリーク勢からは不十分と評価
- 省電力・機械学習に重みを置いたか
A14 BionicとA12Z Bionicを比較してみた
画像引用元:iPad – Apple(日本)
単純なベンチマークではA13 Bionicチップと大差ないA14 Bionicですが、A12Z Bionicと比べてみましょう。
A12Z Bionicは2020年3月に発表された12.9インチiPad Pro(第4世代)、11インチiPad Pro(第2世代)にのみ搭載されています。
- ベンチマークはA14は68万台、A12Zは71万台
- ベンチマークではA12Zが上
- 秒間処理能力はA14 Bionicチップが上
- 機械学習の効率はA14 Bionicチップが上
- 一般向けはA14 Bionicチップ
- ヘビーユーザー向けはA12Z
ベンチマークではA12Zの方が上
A14 Bionicチップのベンチマーク点数は68万台に対し、A12Zのベンチマーク点数は71万点台なので、単純な処理能力の高さではA12Zの方が上になります。
元々A12Zはプロのクリエイターが用いるiPad Proシリーズに搭載されているので、一般向けのA14 Bionicで劣るのは当然の結果と言えるでしょう。
ではスペックが劣る以上、A14 BionicチップはA12Zの下位互換なのかと言うと、決してそんなことはありません。
秒間処理能力ではA14 Bionicチップ
A14 Bionicチップの秒間処理数は11兆回、一方のA12Zの秒間処理数は5兆回とA14 Bionicチップの方がA12Zより秒間当たり2倍以上処理できる計算です。
秒間処理数が多いという事は、A14 Bionicチップの方が小さな命令をたくさんこなせることになり、アプリの起動や軽い処理はA14 Bionicの方が優秀と言えるでしょう。
ベンチマークの点数はA12Zの方が優れているので、「瞬発力の優れた短距離ランナー=A14 Bionic、安定した速度を保つ長距離ランナー=A12Z」と例えることも出来ます。
ニューラルエンジン数はA14 Bionicチップ
Appleが力を入れている機械学習をこなす為に必要なニューラルエンジン数、これはA12Zが8個に対しA14 Bionicは16個と2倍以上増えています。
機械学習はユーザーに最適なアプリや機能を提供するだけでなく、デバイスが学習する速度や効率の良さにも影響を与えます。
バッテリーの効率化にもニューラルエンジンは用いられるので、ベンチマークでは測れない使い勝手の良さで、A14 Bionicの方が優秀と判断できるでしょう。
瞬発力に優れたA14 Bionic、長く処理するならA12Z
両者を比較すると甲乙つけがたい結果になりました。
プロやヘビーユーザーにはA12Zを搭載したiPad Pro(2020)がオススメです。
一方でライトユーザーや一般向けには、動作が軽快なA14 Bionicチップを搭載したデバイスを選ぶと良いでしょう。
A14 BionicはiPad(第10世代)にも搭載
画像引用元:10.9インチiPad(第10世代) – Apple(日本)
2022年10月のAppleイベントではエントリーモデルであるiPad(第10世代)が発表されました。
なぜiPad(第10世代)が2022年現在において2世代前のA14 Bionicが搭載されたのか、考えられる理由は以下となります。
- iPad(第10世代)がエントリーモデルであるため
- 5Gに対応したから
- A14 Bionicチップは秒間処理数が多いから
iPad(第10世代)がエントリーモデルであるため
iPad(第10世代)は新型モデルではありますが、あくまでエントリーモデルの新型です。
iPad ProやiPad Airに比べて価格が安い(68,800円〜)のが特徴です。
エントリーモデルに最新のチップを搭載するのは、予算面や差別化という意味でも難しい話です。
スペックはやや落とし、価格をできるだけ安価にしたものがiPadがiPad(第10世代)です。
iPad(第10世代)のスペック
項目 | 内容 |
---|---|
本体サイズ | 高さ:248.6mm 幅:179.5mm 厚さ:7mm |
重さ | 477g(Wi-Fiモデル) 481g(Wi-Fi + Cellularモデル) |
ディスプレイサイズ | 10.9インチ |
アウトカメラ | 12MP |
インカメラ | 12MP |
バッテリー駆動時間 | Wi-Fiでのインターネット利用:最大10時間 |
ROM | 64GB/256GB |
RAM | - |
CPU | A14 |
OS | iPadOS 16 |
防水・防塵性能 | 非対応 |
カラー | シルバー・ブルー・ピンク・イエロー |
iPad(第9世代)はA13 Bionicだったので、しっかりとスペックアップしています。
iPad(第10世代)が5G対応したためA14 Bionicチップの省電力は必要
iPad(第10世代)はエントリーモデルのiPadとして初めて、5Gに対応しました。
消費電力の激しいとされる5Gに省電力を強化したA14 Bionicチップは必要です。
A14 BionicチップはA12Z等と比較してベンチマーク点数は伸び悩んだものの、消費電力を抑えられるので、iPadで5Gを利用するなら最適のSoCと言えるでしょう。
5Gは大容量データ通信も可能になりますが、そのデータをiPad内部で処理する為にもA14 Bionicチップを搭載したと予想出来ます。
A14 Bionicチップは秒間処理数が多いから
エントリーモデルのiPad(第10世代)の主な用途としてはSNSやWeb閲覧、ゲームアプリで遊ぶといった内容が多く、それらを処理するには1秒間にどれだけSoCが処理できるかが重要です。
A14 Bionicチップは1秒間に処理できる命令数が11兆回、一方のA12Zは5兆回と処理できる命令数はA14 Bionicチップの方が多いというメリットがあります。
ベンチマークの点数はA14 Bionicの方が下回るので、大きなデータの処理ではA12Zの方が有利です。
しかし、エントリーiPadの主な用途ならA14 Bionicチップで十分と判断した可能性があります。
A14 Bionicチップはスペックより利便性やコスパ重視!
画像引用元:Apple (日本)
A13 BionicやA12Zとベンチマーク結果が大差ないので、A14 Bionicチップを酷評する声は少なくありませんでした。
ただし、2022年現在でもiPhone12 Proは快適に利用できるので、Apple側としてはA14 Bionicはスペックの向上より利便性やコスパを優先したと捉えられます。
特に消費電力が激しくなる5Gの普及から、集積度を上げたり、機械学習で効率よく処理させて消費電力を抑えたのは、その方向性を裏付けているでしょう。
A14 Bionicは十分現役のチップです。
iPad(第10世代)に関しては、A14 Bionicの性能よりも円安による価格向上の方が気になるところです。
- A13 Bionicから性能を底上げ
- 集積度を上げ、処理速度を向上
- トランジスタ数が30億増加
- 機械学習がより効率化
- 効率の良い省電力で5Gに対応
- 新型iPad(第10世代)・iPhone12シリーズ・iPad Air(第4世代)に搭載
- 2022年現在でも十分現役のチップ