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スイスのSIRIN LABS(シリンラボ)という企業が2019年1月29日、「FINNEY(フィニー)」というブロックチェーンスマホを日本向けに展開することを発表しました。
しかし、「そもそもブロックチェーンスマホって何?」という方も多いことでしょう。
それもそのはず、SIRIN LABS曰く、ブロックチェーンスマホという物自体が世界初登場なのだそうです。
このページでは、世界初のブロックチェーンスマホ「FINNEY」について、その実態や特徴に迫っていきます。
トップ画像引用元:Blockchain Phone | Sirin Phone | Buy Finney
世界初!「ブロックチェーンスマホ」とは
ブロックチェーンとは仮想通貨のことです。…と、言い切ってしまいたいのですが、厳密にいえば、ちょっと違います。
せっかくなので、ブロックチェーンという技術についても少し見ておきましょう。興味のない方は、1-2まで飛ばしていただいても構いません。
注目の技術、ブロックチェーン
ブロックチェーンは、今世界的に注目されている新しい技術で、分散型ネットワークや分散型台帳技術とも呼ばれています。
一定量の取引データをブロックとしてまとめ、そのブロックを連鎖的につなげて保存するというのがブロックチェーンの主な仕組みです。
この技術は、世界に「金融革命」をもたらし得ると目されています。
中国などはブロックチェーンによる金融革命を、インターネットによる情報革命に次ぐものとし、国家プロジェクトとして、この技術の研鑽に努めているという情報まであるほどです。
分散型と中央集権型
ブロックチェーンの代名詞にあたる言葉、「分散型」。「中央集権型」は、その対義語にあたります。
「中央集権型」の特徴は、特定の組織に管理権限が集中していること。例えば現在の銀行の仕組みなどは、「中央集権型」にあたるでしょう。
中央集権型のデメリットのひとつとして、その組織に不正や攻撃があった場合、データが上書きされ放題になるというリスクが挙げられます。
例えば、1,000万円の預金があったのに、ある日突然0円ということにされていたなど。
管理権限を握っている銀行から、「あなたの預金は0円です。ちゃんとデータもあります」と示されてしまったら、そうでないことを証明するのは不可能に近いですよね。
それを防げるのがブロックチェーンによる分散型のシステムなのです。分散型システムでは、ユーザー同士がお互いに管理・監視し合います。
先ほどの例でいえば、悪意のある銀行によって、1,000万円だった預金を0円にされてしまっても、他のユーザーが持っているデータと照合することで、矛盾や不整合を暴けるのです。
仮装通貨を管理するブロックチェーンスマホ「FINNEY」
画像引用元:Blockchain Phone | Sirin Phone | Buy Finney
ブロックチェーン技術を応用した最も有名な例が、ビットコインに代表される仮想通貨(暗号通貨)です。
そして、ブロックチェーンスマホ「FINNEY」も、仮想通貨を扱うためのスマホとして登場します。
具体的には、インターネットやAndroid OSから隔離された「コールドストレージウォレット」によって、仮想通貨を安全に管理できるようになっています。
つまり、本当に簡単にまとめると、FINNEY=高いセキュリティで仮想通貨を安全に管理できるスマホということ。
また、仮想通貨の送受信もFINNEYの機能から行えるとのことです。
さらに将来的には、仮想通貨による決済機能の導入も視野に入れて、開発を進めているようです。
FINNEY のスペック
画像引用元:Blockchain Phone | Sirin Phone | Buy Finney
それではいよいよ、FINNEYのスペックに迫ってみましょう。スペックは以下のようになっております。
項目 | スペック詳細 |
---|---|
OS | SIRIN OS(Android 8.1がベース) |
プロセッサ | Qualcomm Snapdragon 845 |
メインメモリ | 6GB |
内蔵ストレージ | 128GB |
外部ストレージ | microSDXC(最大2TBまでサポート) |
ディスプレイ | 6型フルHD+(1080×2160ピクセル) |
セーフスクリーン | 2型モノクロ(256×64ピクセル) |
本体サイズ | 74.6(幅)×158(高さ)×9.3(奥行き)mm |
重量 | 約209g |
バッテリー容量 | 3,280mAh |
アウトカメラ | 有効1,200万画素(デュアルフェーズオートフォーカス対応) |
インカメラ | 有効800万画素(視野角85度) |
指紋センサー | あり |
NFC | 対応(Type A/B) |
モバイル通信 | LTE・W-CDMA・CDMA2000・GSM |
Wi-Fi(無線LAN) | IEEE 802.11ac/a/b/g/n(11acは2×2 MIMO対応) |
Bluetooth | 5.0 |
外部接続端子 | USB 3.1 Type-C(Quick Charge 4.0対応) |
最も注目すべきは、OSが独自の「SIRIN OS」という点です。暗号通貨を扱うため、以下の機能が備わっています。
- コールドストレージウォレット
- マルチレイヤーの総合サイバーセキュリティスイート
- トークンコンバージョンサービス
- マルチブロックチェーンDAppストア
名称だけではわかりにくいですが、これらの機能が仮想通貨の安全な保管と送受信を実現してくれます。
送受信の手段として、ウォレットのアドレスをQRコードで表示したり、メッセンジャーアプリでアドレスを送信したりといったことが可能です。
ただ、SIRIN OSのベースになっているのはAndroid OSなので、仮想通貨のためのオリジナル機能を除けば、普通のAndroidスマホのひとつであるとも言えます。
通常のAndroidスマホとしても一級品のスペック
ブロックチェーンスマホと聞くと、「その機能に特化している分、普通のスマホとしては物足りないニッチさだけが取り柄のものではないか」と思うかもしれません。
しかしFINNEYのスペックを見ると、通常のAndroidスマホとしても一級品のスペックを有していることがわかります。
CPUにはSnapDragon 845を搭載。これは現在Androidスマホに搭載され得るものとしては、トップクラスのハイエンドCPUです。
Galaxy Note 9やXperia XZ3、AQUOS zeroなどなど、数々の最新ハイエンドモデルがこのSnapDragon 845を搭載しています。
SnapDragon 845を搭載するAndroidスマホは、AnTuTuベンチマークスコアで大体27~29万を記録します。これは非常に高い数字で、例えばiPhone Xの数値は約24万です。
これだけ高いスコアがあれば、普段使いでの動作は快適そのもの。最新の3Dゲームのような重たい処理もこなしてくれます。
メモリの量もたっぷり!
RAM(メインメモリ)6GBに、内部ストレージは128GBと、これまたハイエンドモデルにふさわしい数字です。
さらに2TBまでのmicroSDカードが挿入可能。通常の使い方の範囲なら、容量不足になることはまずないと言えるでしょう。
「技適マーク」もあり!
画像引用元:総務省 電波利用ホームページ|電波監視|技適マーク、無線機の購入・使用に関すること
海外メーカーのスマホを使う上で注意しなければならないのが、「技適マーク」の有無です。
技適マークは、総務省が「日本の電波を使っていいですよ」と認めたデバイスに付けられる認定証で、技適マークのないスマホを日本で使うことは厳密には違反です。
スイスのSIRIN LABSという、日本では馴染みのない企業のスマホ故、ある意味もっとも心配なところだったのですが、なんとFINNEYは技適マークを付けた上で正式に日本で販売するとのことです。
東京にオープン予定の店舗での販売や、Amazonでの取り扱いが予定されています。そのため、日本の一般人でも比較的入手しやすいでしょう。
価格は10万円以上か
画像引用元:Blockchain Phone | Sirin Phone | Buy Finney
気になるFINNEYの価格ですが、SIRIN LABSの海外向けのWeb上では、現在999ドルで販売されています。日本円にすると約109,900円ですね。
日本での発売価格については明かされていませんが、Appleなど他の海外メーカーの動向からしても、日本でだけ安くなるということはまずないでしょう。
金額を素直に見れば非常に高額です。
しかし一方で、SnapDragon 845を搭載したスマホは大体どれも10万円前後しますから、FINNEYだけが不当に高いわけではありません。
仮想通貨に特化した独自機能がありながら、他のハイエンドモデルとそう変わらない価格というのは、考えようによっては良心的ととらえることもできます。
防水とFeliCaには非対応
FINNEYは海外ではすでに発売していますが、防水性能はなく、FeliCaにも非対応です。
FeliCa非対応ということは、日本のおサイフケータイにも対応していません。<これは非常に惜しいですね。 これから本当に仮想通貨が主流になれば、おサイフケータイなぞ不要という日がくるかもしれませんが、現時点ではあってくれたほうが、利便性は間違いなく高いです。 とはいえ、仮想通貨云々は抜きにしても、海外メーカーのスマホはFeliCa非対応であることが普通なので、致し方ないですね。
FINNEY の売れ行きは仮想通貨市場次第か
以上、世界初のブロックチェーンスマホ「FINNEY」についてでした。今回のポイントをまとめると以下のようになります。
- FINNEYは仮想通貨を安全に保管・送受信できるスマホ
- スペックは通常のAndroidスマホとして見てもハイエンド
- 防水とFeliCaには非対応
- 日本でも正式に発売する
FINNEYを必要とするのは、ずばり仮想通貨を所有していて、これからも仮想通貨を購入したり大事に持っておいたりしたいと考えている方です。
そうでない方にとっては、はっきり言って無用の長物でしょう。よって、FINNEYの売れ行きは、仮想通貨の需要次第になると考えられます。
2018年1月26日に、仮想通貨取引所「CoinCheck(コインチェック)」の仮想通貨「NEM(ネム)」の流出事件が起こりました。
それ依頼、仮想通貨市場の下落も重なり、世間はすっかり仮想通貨に関心をなくしています。
今後どうなるのかは別として、少なくとも今、FINNEYが日本で発売されたからといって、買いたがる日本人は極めて少数でしょう。
しかし、これから仮想通貨が本格的な投資対象になったり、決済手段として定着したりする可能性は十分にあります。
ですから、世間の動向によっては、今後、ブロックチェーンスマホという存在がとても重要なものになるかもしれません。
SIRIN LABSも恐らく、今は先行投資という感覚が強いのではないでしょうか。
FINNEYのようなブロックチェーンスマホがどうなっていくのか、仮想通貨の動向と合わせて注目していきたいところです。