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講談社を始めとする人気漫画を誰でも無料で閲覧できた「漫画村」。
2016年1月開設後、怒涛のアクセス数を獲得し、海賊版の漫画ビューアサイトとして社会現象となりました。もちろんよろしくない問題として……。
この記事では、漫画村で指摘されている違法性に関してまとめています。
友達に勧められてなんとなく利用していた、ニュースで聞いて初めて知った、そんな方はぜひこの問題を心にとめていただければ幸いです。
漫画村はなぜダメだったか
漫画村は2016年1月から2018年4月頃まで、人気漫画や雑誌・小説・写真集を無料で読むことができた「海賊版サイト」です。
登録不要で誰でも閲覧できることから口コミで利用者が増え、国内のサイトランキングで31位になるほどの社会現象に。最終的には、政府が緊急対策を取る事態となりました。
そう、海賊版とはそれほどマズイものなのです。今回は漫画を読む方に認識しておいてほしい、漫画村問題について執筆します。
推定被害額3200億円・出版社が刑事告訴へ
まず、多くの海賊版サイトはただ判決が下っていないだけで、中身は間違いなく真っ黒であるというお話をしましょう。
- 日本で海賊版が作成されると著作権法(昭和45年法律48号)違反行為となる
- また海外で作成された海賊版を輸入したり、海賊版であることを知りながら頒布したりする行為もまた著作権侵害となる
「海賊版」とは、著作権や出版権を無視して作成・コピー・頒布された本やレコードなどを指す言葉です。
漫画村の運営者は著作権法違反容疑で捜査され、講談社などの複数の出版社から刑事告訴されることになりました。
漫画村は2018年4月にアクセスできなくなり、ついにはGoogleの検索結果ページでも非表示に。その後、運営者によって閉鎖されたと言われています。
これまでサイトを利用してきた人たちはどのように感じたのか。騒動後に行われた大学生へのインタビューでは、信じがたい回答が飛び出しました。
道ゆく大学生は……
- 漫画村が閉鎖して困る。悲しい。
- 違法だと知っていても無料で見られたのはありがたかった。
- タダで手軽だから毎日使ってたのに。
「赤信号みんなで渡れば青信号」「ダメだと分かっていてもつい」「無料で公開されているものを見て何が悪いの」など。
一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構によると、同じような感覚で利用していた人は、半年間で延べ6億2千万人、推定被害額はなんと3200億円に上るといいます。
単行本や電子書籍版から得られるはずだった利益。それだけあれば一体どれだけの作者を支えられたのでしょうか。
運営者の収入は月間6000万円前後と推測
「漫画村は無料で閲覧できるから、運営者は1円も儲からないのでは?」と思うかもしれませんが、作家・山本一郎氏は、2017年11月時点で月間6000万円前後の売上があったと分析しています。
- 漫画村で掲載されていた広告による収入
- 漫画村の利用者データの販売
メインの収入はサイトに掲載されていた広告で、大手アダルトサイトのもので月間売上約350万円、出会い系サイトなどのタイアップ広告が週間売上80万円/週、月間売上1400万円/月など。
その多くは掲載された回数に応じて金額が決まるペイ・パー・ビュー型広告で、利用者が多ければ多いほど運営者の利益になる仕組みだったのです。
さらに、アドテクノロジー会社から委託を受けてブランド製品を生産するメーカーに対し、利用者のアクセスログやクッキー情報の販売も行っていたとのこと。※販売売上額は不明
利用者の情報も漏れなく利益のために悪用していた、ということです。
セキュリティーリスクの心配も
またNHKは、情報セキュリティー会社トレンドマイクロの協力を得て、海賊版サイトのセキュリティーリスクを指摘しています。
とある海賊版サイトでは、ページを開いただけでPCのCPU稼働率が100%になっていました。
その原因を調査したところ、PCやスマホの電力を使って仮想通貨を生成(マイニング)するプログラムが自動的にダウンロードされていたというのです。
そのほかにもげっそりとする仕掛けが施されていました。
とある海賊版サイトに発生していたセキュリティーリスク
- PCやスマホの電力を使って仮想通貨を生成(マイニング)する不正プログラムが動き出す
- 広告をクリックすると「パソコンがウイルスに感染している」という偽画面が表示される
- ウイルス駆除のための費用を請求する「偽サポート詐欺」サイトに接続される
作品に携わる方はもちろん、利用者も直接的被害を受ける可能性のある海賊版サイト。
有料が無料になる怪しげな仕組みの裏には、利益のために手段を選ばない第3者がいることを忘れてはいけません。
漫画村の元運営者は近日中に日本で逮捕される見込み
ニュースや国会で報道されてから、漫画村の存在を初めて知ったという方も多いと思います。
政府は2018年4月13日、漫画村などの3サイトを海賊版だとして名指しし、インターネット接続事業者に接続遮断を求めました。
応急的なブロッキング要請でしたが、これが引き金となり、漫画村は同月17日午後から接続不能に。その後、運営者によって削除されたと見られています。
そして5月には複数のメディアにより、著作権法違反容疑で福岡県警察が捜査を開始したことが報道されました。
ただ、作者や出版社はこれまでの損害を取り戻さなくてはなりません。
権利を侵害された漫画家が原告となる「運営者情報などの開示を求める訴訟」。
これに海賊版サイトを配信する米Cloudflareが応じ、「漫画村に関するアクセスログ」が開示されました。
これにより、管理者用のメールアドレスから法的な手続きを得て、ついに特定の人物へとたどり着いたのです。
2019年7月7日、漫画村の元運営者で国際手配されていた星野ロミ容疑者がフィリピンで拘束されました。近日中に日本へ強制送還され、逮捕される見込みです。
また10日には、サイトの運営に関与したと見られる日本人2人を、福岡県警などが逮捕。
さらに、別の日本人1人にも逮捕状が出ているようですが、同サイトの運営には10人以上の人間が関与していたと推測されています。
なぜ「限りなく違法」という言い方がされていたのか
ところで、海賊版サイトは違法なのに、なぜ漫画村の元運営者はなかなか捕まらなかったのでしょうか。
報道によれば、元運営者は漫画村の違法性に関して以下のような見解をしているそうです。
- 自身がアップロードしているわけではない。よって現行法では裁けないはずだ
- 国交がなく著作権が保護されない国で運営しているので違法ではない
- 結局、裁判所で有罪判決を受けていないから、原告への法的な支払い義務はない
漫画村の元運営者は都内に居住していました。
しかし、漫画村を配信しているのは米Cloudflare、漫画村のサーバーはウクライナ(米Cloudflareによれば。NHKより)、プロバイダはスウェーデンとややこしい構造になっていたのです。
とはいえ、結果的には福岡県警に著作権法違反容疑で捜査されていますし、元運営者が近日中に日本で逮捕されるのはほぼ確実です。
漫画村のようなサイトは未だ数えきれないほど存在していますが、この逮捕をきっかけに、そういったサイトが1つでも減ってくれることを願っています。
次の章では、漫画無料サイトやアプリを3タイプに分けて、それぞれの特色を解説します。
漫画無料サイトやアプリは3種類に分類できる
ここまで、海賊版は違法だということを解説してきましたが、漫画を無料で読めるサイトやアプリがすべて海賊版なのかというと、もちろんそうではありません。
安心して読んでいい、むしろ漫画好きとしておすすめしたいサイトもあります。
出版社が運営する公式アプリやサイト
画像引用元:マンガワン公式サイト
読者と作者が最も安心できるのは、出版社が運営するアプリやサイトを利用することです。1話ごとに無料公開となり、最終的には読破も可能なタイプが主流です。
こういったアプリでは、好きな作品を繰り返し読みたい場合などは、1話ごとに専用のコインを使って購入するか、電子書籍版を購入する仕組みとなっています。
作者もブランドを背負って知名度や認知度をアップできますし、契約料や印税、会社のフォローなどのメリットが得られますから、ファンとしても安心して読むことができます。
項目 | 詳細 |
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出版社が運営する公式アプリ | ジャンプラ(集英社)、マンガワン(小学館)など |
掲載方式 | 1話ごとに期間限定で無料公開、待てば無料チケットが手に入りすべて無料で読めるものが多い |
メリット | ・単行本や電子書籍版が購入できるサイト・アプリにスムーズに移動できる ・広告がほぼない |
公式アプリやサイトはかなり見やすい設計になっているので、ぜひアクセスしてみてくださいね。
各出版社の対象作品を月額料金で読み放題
画像引用元:ブック放題スタートガイド
2つ目は、Amazon のKindle Unlimitedやソフトバンクのブック放題のように、月額数百円を支払って掲載作品が読み放題になるタイプです。
ちなみにソフトバンクのブック放題は、月額500円で雑誌200誌、るるぶ100冊、漫画2万冊が読み放題になります。ほとんどのサービスで初月無料キャンペーンを実施しているのも特徴です。
項目 | 詳細 |
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各出版社の対象作品を月額料金で読み放題とするアプリ | Kindle Unlimited(Amazon)、ブック放題(ソフトバンク)など |
掲載方式 | 月額数百円で掲載作品が読み放題 |
メリット | 広告が少なめ |
デメリット | 漫画はやや古い作品が多い |
ご利用の際は、運営会社の知名度や評判をチェックしておくと安心です。
作者の許可を取っている作品が読み放題
最後は、作者の許可を取った上で無料公開しているタイプです。
このようなサイト・アプリを利用する際は、
- 本当に許可を得て掲載しているのか
- どんな運営会社なのか
- 評判はどうなのか
という点について、細心の注意を払って利用してください。
項目 | 詳細 |
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作者の許可を取った作品を読み放題とするアプリ | -- |
掲載方式 | 掲載作品を無料で読み放題 |
デメリット | ・海賊版サイトの可能性もある ・広告が最多 |
漫画界を元気にするために!
漫画村はネットの匿名性を利用して多大な利益を得るための海賊版サイトでした。現在は閉鎖されていますが、ほかにも似たようなサイトが登場しているようですね。
読むのは一瞬。でも描くのは何週間、何ヶ月。構想を含めたら何年もかかるもの……。
作者は人生をかけています。無料で読めるからといって海賊版を利用する前に、ぜひ一度立ち止まって考えてみていただけますと幸いです。
私たちが正しく利用することで作者のモチベーションがアップし、よりよい作品が誕生するはずです!