A12 Bionicチップって?歴代のiPhone搭載チップと性能を比較

  • 更新日:2023年9月11日
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メモリ

人気iPhoneシリーズのiPhone XS・XS Max・XRに搭載されているA12 Bionic。

最新のA14 Bionicには劣るものの、性能の高さはかなりのものです。

A12 Bionicがどんなチップなのか、そして今までとは違う『スゴい』ポイントを、例えを交えながら紹介していきます!

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スマホ(iPhone・Android)やドコモ・au・ソフトバンク・楽天モバイルなど通信キャリア情報を扱うメディア「bitWave」の編集部。携帯キャリアの料金プランや割引キャンペーン情報をはじめ、最新スマホの評価レビューから使い方までスマホ・通信にまつわる記事を幅広く制作。

iPhone XS・XS Max・XRに搭載されたA12 Bionicとは

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画像引用元:iPhone XS | iPhone | NTTドコモ

A12 Bionicは、Appleが開発した最新のSoC(System-on-a-Chip)で、iPhoneに搭載されているチップです。

まずは、SoCのしくみと、これまでのiPhoneとは違う、数値的な凄さから見ていきましょう。

A12 BionicはiPhoneの脳のようなもの

A12 Bionicは、例えるならiPhoneの脳にあたる部分です。

私たちの脳にはいろいろな機能がありますよね。脳は言葉の処理をしたり発したりするだけでなく、記憶や感情など「考えること」のほとんどを担っています。

A12 Bionicも同じように、いろいろな指示を処理したり記憶することで、iPhoneを動かしているのです。このような役割をするチップをSoCと言います。

「SoC」とは

A12 BionicはiPhoneを動かすためのチップ(SoC)です。(チップではなく、「半導体」と呼ばれることもあります)

パソコン用語に「CPU」や「GPU」がありますが、これらはパソコンやiPhone・Androidスマホのパーツの一部にあたります。

これらを端末の内部に搭載することで、iPhoneはiPhoneとして動くことが可能となるのです。

ですがiPhoneやAndroidスマホは小型のため、パソコンと同じサイズのCPUやGPUを入れ込むことができません。

そこで、スマホの開発者は、CPUなどの必要なパーツをギュッと凝縮したものを新たに作成しました。これが「SoC」と呼ばれているものです。

A12 Bionicと歴代iPhoneのSoCの違い

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画像引用元:iPhone XR – Apple(日本)

これまでiPhoneのSoCは、A10・A11 Bionicとバージョンアップしてきました。そして、A12 BionicはiPhone XS・XS Max・XRに搭載されています。

では、その前のA11 Bionicに比べてパワーアップしたところをチェックしてみましょう。

A12 Bionicのパワーアップポイント
  • 性能コア:最大15%高速化
  • 効率コア:最大-50%の省電力を実現
  • グラフィックス性能:最大50%高速化
  • 機械学習:最大9倍高速化

こうして数字を見ただけでも、A11 Bionicから大幅にバージョンアップしたことがわかりますね。

また、iPhoneには2つの性能コアと4つの効率コアがあります。

「コア」とは

「コア」という言葉には、「脳」のような意味合いがあります。

例えるなら、ある職場の部署Aに2人、部署Bに4人の計6人が配属されていて、みんなで仕事をさばいているような状態です。

もし、職場に部署A(2人)しか存在しなかった場合、急に大きな仕事が舞い込んできたら、どうなってしまうでしょうか?恐らく仕事が回らなくなってしまいますよね。

しかし、部署Bを加えた6人を配置することで、効率よく作業をこなせるようになるのです。

A12 BionicはA11 Bionicに比べて、性能コアが15%も高速化しており、より処理能力がアップしています。

つまりこれは、性能コア担当の2人の能力が15%もアップしたということです!さらに作業効率が良くなりますよね。

処理速度の大幅アップによりもたつき・フリーズ率を低減

A12 Bionicはこれまでよりも処理速度を上げることで、作業効率をアップさせているのです。

そうすることで、iPhone操作時のもたつきやフリーズが発生する確率を低下させています。

ちなみに、さらに前のiPhone7に搭載されていたA10は、性能コア2つ・効率コア2つでした。

A11 Bionicで効率コアが4つに増えているので、その時点でかなりバージョンアップしたと言えるのですが、今回のA12 Bionicでさらなる進化を遂げたことになります。

省電力化≠バッテリー持ちの向上

A12 Bionicは、処理速度とバッテリー持ちの絶妙なバランスをとっているSoCです。

コアが高速化すれば、それに伴って処理速度もアップします。それはとても魅力的なことですが、その分だけバッテリーを消費することにもなってしまいます。

そこでA12 Bionicでは、効率コアを省電力化。「バッテリーを消費しやすい」というデメリットを、可能な限り減らしています。

勘違いしやすいのですが、これはバッテリーの持ちが良くなったというわけではありません。あくまで「性能アップにより、バッテリーを大きく消費してしまうのを防いでいる」というイメージです。

スマホ史上初の7nmプロセスを実現

A11 Bionicに比べ、性能が大幅に向上しているA12 Bionic。実はA12 Bionic自体に使用しているチップの性能も、かなりアップしているのです。

これは最新技術を搭載した新しい家電製品が、自宅内に一気に増えたのと同じようなもの。古い家電ではできなかったことができるようになり、滞っていた作業がスムーズに進むようになったのです。

約69億のトランジスタを搭載するA12 Bionic

A12 Bionicは約69億のトランジスタを搭載しています。これにより、より細かな処理が可能となりました。

前バージョンのA11 Bionicは10nmで約43億トランジスタを搭載していましたが、その頃から比べると、26億も増えていることになります!

ちなみに「トランジスタ」とは、電気の流れをコントロールするパーツのことを指します。

7nmプロセスの“スゴさ”とは

A12 Bionicは、スマホ史上初の7nm(ナノメートル)プロセスを実現しました。

ちなみに、A11 Bionicは10nmプロセスです。

「プロセス」とは、性能レベルを表す目安となる数値です。

この値が小さくなるほど、1つのチップに納められるトランジスタの数が増え、性能もアップします。

通常1つのチップ上にたくさんのトランジスタをのせたいと思っても、トランジスタのサイズが大きいと、どうしても搭載できる数が限られてしまいますよね。

そこでA12 Bionicは、7nmという業界初の極小サイズにすることで、69億ものトランジスタをのせることに成功したのです。

1nmは1mの10億分の1にあたります。iPhoneでできる様々なことが、これだけ小さいものの中に収まっているということですから、本当にすごい技術力です。

A12 Bionicって具体的に何が凄いの?

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画像引用元:iPhone XS 製品情報 | ソフトバンク

では、A12 Bionicの数値的な凄さがわかったところで、iPhoneユーザーはどんなところに進化を感じられたんでしょうか

主に以下の3つが挙げられます。

  • 処理能力アップ
  • カメラ性能アップ
  • ゲーム性能アップ

それぞれ詳しく見ていきましょう!

A11 Bionicよりも処理能力がアップ!

iPhoneの中には、とても仕事のできる秘書がいて、iPhone自身やユーザーが出した指示をテキパキとさばいてくれています。

A12 Bionicを搭載したiPhoneでは、この秘書の頭がさらに良くなり、グレードアップしているのです!

というのも、A12 Bionicは「ニューラルエンジン」という機械学習の処理能力がアップしています。

ニューラルエンジンの技術自体は前回のA11 Bionicから採用されていますが、より性能が良くなっているのです。

この機械学習機能は、例えるなら「人工知能の秘書」といったところでしょう。私たちユーザーの指示を的確に認識するだけでなく、予測して動くこともできます。

A12 Bionicでは、この秘書のグレードが大幅にアップしており、かゆいところに手が届く、かなり優秀な秘書となりました。

その頭の良さは、なんと毎秒5兆というとてつもないスピードで演算処理をこなせるほど。

前バージョンのA11 Bionicが発表された当時は「毎秒6,000億の演算処理が可能」というニュースに驚かされたものですが、それをはるかに上回る能力を備えているのです。

ニューラルエンジンの性能アップで可能となったこと

ニューラルエンジンは、iPhoneならではの機能である「Face ID」や「アニ文字」等にも関与しています。

Face ID
iPhoneで使われている顔認証システムのことで、セキュリティ解除の際に使われます。

【アニ文字】
2017年発売のiPhoneXから対応。人の表情や音声をアニメに置き換えて表現し、それを録画してメッセージで送れる楽しい機能です。

顔認証の機能自体は他のスマホでもよく見かけますが、進化したA12 Bionicでは眼鏡をかけていたり帽子をかぶっていたりしても、正確に本人を判定することが可能です。

双子でもほとんど誤認識することがないという高度な顔認証技術は、iPhoneだからこそ実現できたと言っても過言ではないでしょう。

また、Face IDで使用しているTrueDepthカメラでは、人の顔を正確に認識することができるため、よりその人に近いオリジナルのアニ文字キャラクターを作ることが可能となりました。

カメラ写りがめちゃくちゃきれいに!

ニューラルエンジンの凄さがわかる機能のひとつが、カメラです。

iPhoneのカメラでは、「この綺麗な写真、もしかして一眼レフで摂ったの!?」と他人から褒められてしまいそうなくらい、クオリティの高い1枚を撮ることができます。

これは、iPhoneの画像処理能力が大きくアップしているため。画面で見た時に驚くほど綺麗に映える写真に仕上がるのです。

「背景ぼかし」のクオリティが凄い!

iPhoneでは、一眼レフで撮影したかのような「背景ぼかし」も綺麗に出すことができます。

とはいえ、最近のスマホやアプリには、背景をぼかす機能がよくついていますよね。なので、「別にiPhoneが特別ってわけじゃないよね?」と思われるかもしれません。

ですが、これらは「ただ背景をぼかすだけ」というものがほとんどです。ものによっては被写体の輪郭までぼけてしまったり、一眼レフとは程遠い仕上がりになってしまう場合も。

一方、A12 Bionicは高度な画像信号プロセッサを使っているため、一眼レフユーザーも納得の仕上がりとなります。

人間と同じように考えるニュートラルネットワーク

AR機能で背景や3Dエフェクトを作ったりと、iPhoneのカメラではいろいろな加工を楽しむことができます。暗い場所での撮影もお手のもの。

そんなA12 Bionicのカメラには、ニュートラルネットワークという技術が大きく関わっています。

これは、人間の脳と同じような動きをすることで、ユーザーが操作しなくても自動で判断して動いてくれるというもの。

iPhoneで様々なハイテク機能を使えるのは、この最先端の技術のおかげなのです。

写真加工技術の進化

iPhoneのカメラの凄い部分は、見えないところできれいな写真を作りあげる、HDRという機能が進化した点です。

例えば、1枚の写真を撮ったとしましょう。しかしこの時、実際は裏で複数枚の写真を撮影をしていて、その中から一番良いものを撮影画像として編集してくれます。

これは撮影と同時進行で、A12 Bionicが画像の処理をしているため。ユーザーは特に何も意識しなくても、綺麗な写真を撮るいことができます。

また、この機能は動画撮影でも効果を発揮してくれます!

「A12 Bionicが凄いのは分かったけど、やっぱり自分好みに写真を加工したい!」という人もご安心を。

ISPを従来よりもさらに強化しているため、様々なポートレートで自分好みの写真に仕上げることが可能です。

なんとA12 Bionicでは、撮影後でもぼかし具合を調整することができます。これはA12 Bionicならではの最新機能です。

ゲームが進化!

A12 Bionicのゲーム機能が発表された時、多くの人が感動したといわれています。それほど、臨場感あるゲームを楽しむことが可能となったのです。

まるで2Dゲームから3Dゲームに進化した時のような、「こんなことが実現可能なのか!」という感動を味わえますよ!

GPUという画像の処理を行うパーツが大幅に性能アップしたことで、臨場感あるゲームをストレスなく堪能できるようになりました。

前回のA11 Bionicはコアが3つでしたが、今回のA12 Bionicでは4コアになっています。そのため稼働が上がり、複雑な動作の多いゲームでも重さを感じることなく、滑らかな映像でプレイ可能です。

グラフィックス性能も、A11 Bionicに比べ最大50%も高速化。

進化し続ける!iPhoneのA12 Bionic

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画像引用元:iPhone XS – Apple(日本)

Apple社が独自開発したOSやチップが使われているiPhoneシリーズ。

そんなiPhoneは、Androidでは実現が難しい、斬新で面白い機能をどんどんリリースできる可能性を秘めています。

前バージョンのA11 Bionicに比べ、あらゆる数値が大幅にアップしているA12 Bionic。

そのA12 Bionicを搭載しているiPhone XS・XS Max・XRは、それまでiPhoneの動作に不満があったという人でも、納得できるのではないでしょうか。

では、改めてA12 Bionicの凄さをおさらいしておきましょう。

A12 Bionicの機能
  • 性能コア高速化と効率コアの50%省電力
  • 7nmプロセスで69億のトランジスタを搭載
  • グラフィックス性能高速化
  • 毎秒5兆の演算能力