
2020年3月からキャリア(MNO)として参入した楽天モバイルは、月額2,980円で無制限という料金プランを出して通信業界に衝撃を与えました。
それからしばらく経ち、他社は無制限プランの値下げを発表していますが、まだ楽天モバイルの水準には至っていません。
キャリア(MNO)の無制限プラン比較(提供予定含む)
サービスブランド | プラン名 | 月額 | データ容量 |
---|---|---|---|
楽天モバイル | Rakuten UN-LIMIT Ⅵ | 0円~ 2,980円 | 無制限 |
ドコモ | 5Gギガホ プレミア | 6,650円 | |
au | 使い放題MAX 5G/4G | 6,580円 | |
ソフトバンク | メリハリ無制限 | 6,580円 |
なぜ楽天モバイルだけこんな安い価格で無制限&5Gを提供できるのでしょうか。
- 楽天モバイルの通信品質が悪いから安いだけ?
- 逆に他のキャリアがぼったくり?
現状ではどちらも「それな!」と言いたくなる部分もありますが、いやいや、楽天モバイルは結構本当にすごいんですよ。
そこでこの記事では、低価格の通信サービスを提供する楽天モバイルの「クラウドネイティブモバイルネットワーク」について解説します。
- 仮想化・クラウドネイティブモバイルネットワークによるコスト削減
- 従来は専用ハードウェアがいくつも必要だった
- 楽天モバイルは専用ハードウェアがなくてもネットワーク構築できる
- だから他社より安い価格でサービス提供できる
ソフトバンクは、容疑者によって持ち出された自社の営業秘密が楽天モバイルで利用されている可能性が高いと見ており、楽天モバイルに対して、営業秘密の利用停止と廃棄等を目的とした訴訟を提起することを予定しています。
しかしながら、記事作成時点では真相不明につき、記事内では当該事件については考慮せずに解説を行っております。
あらかじめご理解の程よろしくお願い申し上げます。
トップ画像引用元:世界初、完全仮想化クラウドネイティブモバイルネットワーク|楽天モバイル
完全仮想化・クラウドネイティブモバイルネットワークとは何か
クラウドネイティブモバイルネットワークにより、楽天モバイルは世界初のネットワークの完全仮想化を実現しました。
しかし、そもそも仮想化とは何か、クラウドネイティブネットワークとは何なのか、難しい用語だらけですよね。
まずは従来のネットワークの仕組みから見ていきましょう。
携帯電話のネットワークの仕組み
携帯電話のネットワークは、端末と基地局のネットワーク(以下、無線アクセスネットワーク)と、それを制御するコアネットワークで成り立っています。
無線アクセスネットワークは想像しやすいと思います。例えば「ここは基地局が近いからよく繋がる」とか、日常的に話題になりやすいネットワークは無線アクセスネットワークです。
対するコアネットワークは、基地局同士や他社ネットワークとの通信を行なうネットワークで、その名の通りネットワーク全体のコアとなる部分です。
例えば東京都のAさんが、北海道のBさんにメールを送るとしましょう。
東京都のAさんの送るデータは、東京都の基地局に送信されます。これが無線アクセスネットワークの働きです。
しかしこのままでは、北海道のBさんには届きません。東京都の基地局から北海道の基地局にデータを送る必要があります。これを担うのがコアネットワークです。
コアネットワークの役割は他にも多岐に渡りますが、この記事では上のようなシンプルな理解で大丈夫です。
どちらも不可欠なのは、楽天モバイルも例外ではありません。
ネットワークの仮想化とは
ここからが従来のネットワークと、楽天モバイルのネットワークの違いです。
仮想化とは、ハードウェアを抽象化し、ソフトウェアによって役割を決定・統合・分割できるようにする技術です。
これまで携帯電話のネットワークを実現するのは、専用のソフトウェアと、それを動かすための専用のハードウェア(設備や機器)が必要でした。
この専用のハードウェアの価格が非常に高く、キャリア(MNO)はその用意と管理に莫大なコストを要します。
しかし楽天モバイルは、専用のハードウェアを使わず、汎用ハードウェアでもネットワークを構築することに成功しました。これが「仮想化」です。
クラウドネイティブモバイルネットワークとは
クラウドネイティブとは、従来のソフトウェア・ハードウェアの役割を、可能な限りすべてクラウド上で行ってしまおうという発想ないしは技術です。
クラウドネイティブモバイルネットワークは、「携帯電話のネットワークに必要なものを、なるべくクラウドで済ませる」ことを目的とします。
もう少し具体的に言うと、基地局の設備を最小限に抑えることで、建設・運用のコストを大幅に削減できます。
クラウドネイティブモバイルネットワークだからできた、楽天モバイルの格安プラン
画像引用元:楽天モバイル
仮想化やクラウドネイティブモバイルネットワークの実現は、決して簡単なものではありません。
NTTドコモも仮想化・クラウドネイティブモバイルネットワークへの移行に向けて取り組んでいる最中です。
そんな中、楽天モバイルは一足早く実現に成功し、NTTドコモ・KDDI・ソフトバンクよりも低コストで通信サービスを提供することを可能としました。
ソフトウェアアップデートで4Gから5Gに移行できる
4Gから5Gへ移行するためには、5G用の専用ハードウェアが必要になります。
しかし、仮想化によって汎用ハードウェアで事を済ませられる楽天モバイルの場合、ソフトウェアをアップデートするだけで、4Gから5Gへ移行することが可能です。
つまり、5Gのために新しい設備投資をしなくてもいいということ。だからこそ、楽天モバイルは低価格を実現できたのです。
基地局の設備が簡素化される
クラウドネイティブモバイルネットワークなら、ハードウェアの設置を最低限で済ませることができるので、基地局はそこまで大規模である必要がありません。
楽天モバイルではクラウドネイティブモバイルネットワークの一貫として、無線アクセスネットワーク機能も基地局からエッジデータセンターに移動させています。
これにより、楽天モバイルの基地局は最低限のアンテナ、整流器、電源などを置くのみとなり、基地局自体の建設・運用のコストを抑えることにも成功しました。
つまり、楽天モバイルは最新技術の導入によりコストカットに成功したため、他社より安い価格で通信サービスを提供できるのです。
高度な最新技術でコスト削減!低価格プランが可能に!
以上、楽天モバイルが安い価格で無制限&5Gを提供できる理由についてでした。
- 仮想化・クラウドネイティブモバイルネットワークによるコスト削減
- 従来は専用ハードウェアがいくつも必要だった
- 楽天モバイルは専用ハードウェアがなくてもネットワーク構築できる
- だから他社より安い価格でサービス提供できる
楽天モバイルは仮想化・クラウドネイティブモバイルネットワークという高度な技術を実現したことで、従来よりも携帯電話のネットワークに必要なコストを大幅に削減することに成功しました。
他社より料金が安いのはそのためです。
現状はそれでも設備の遅れなどから繋がるエリアが限られていますが、2021年夏には人口カバー率96%になる予定とのことです。
また、楽天モバイルへのプラチナバンド(700~900MHz帯)分配の議論も上がっています。
かつてはソフトバンクも、プラチナバンドを割り当ててもらうまでは繋がりにくいと不評を買っていました。
楽天モバイルにプラチナバンドを分配するには、占有中のNTTドコモ・KDDI・ソフトバンクから一部「総務省に返してもらう」必要があるため、3社の抵抗は必至。
今後楽天モバイルの繋がりやすさはどうなるのか、目が離せません。
また他社でも仮想化・クラウドネイティブモバイルネットワークの実現に成功すれば、楽天モバイル並に安くなっていくかもしれませんね。
キャリア(MNO)の無制限プラン比較(提供予定含む)
サービスブランド | プラン名 | 月額 | データ容量 |
---|---|---|---|
楽天モバイル | Rakuten UN-LIMIT Ⅵ | 0円~ 2,980円 | 無制限 |
ドコモ | 5Gギガホ プレミア | 6,650円 | |
au | 使い放題MAX 5G/4G | 6,580円 | |
ソフトバンク | メリハリ無制限 | 6,580円 |