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ソフトバンクが来春を目処に、MNP(携帯乗り換え)転出手数料を完全撤廃することを明らかにしました。
これは政府・総務省の掲げる、携帯電話業界の健全化と公正な競争の促進という方針に従ったものです。
この記事では、ソフトバンクがMNP転出手数料を撤廃することや、それが意味する今後の携帯電話業界の動きについても解説します。
- 無料化は政府・総務省の方針
- 携帯電話業界の公正な競争の促進が目的
- ソフトバンクはドコモ・auより先に従う
- 携帯電話料金の値下げに繋がると期待される
トップ画像引用元:ソフトバンク
ソフトバンクがMNP転出手数料を無料にする動き
ソフトバンクは来春を目処に、他社への乗り換えの際にかかるMNP手数料を完全に撤廃・無料とすることを発表しました。
ワイモバイルでも同様に無料になります。
この決定はユーザーにとって嬉しいことで、ソフトバンクにとっては「損」と言えます。
また、My SoftBank(マイソフトバンク)とMy Y!mobileが24時間受付対応になることも決まりました。
ユーザーが他社に乗り換えやすくなる
MNP手数料の無料化とMy SoftBank/My Y!mobileの24時間受付によって、ソフトバンク/ワイモバイルユーザーはスムーズに他社に乗り換えやすくなります。
つまり、これは少なくとも短期的に見れば、ソフトバンクが得するような決定ではありません。
- 「ソフトバンクの料金プランは高いけど、手数料のせいで乗り換えにくい……」
- 「本当はドコモ・auや格安SIMに乗り換えたい……」
こういったユーザーのMNPを後押しすることになります。
そもそも、MNP転出手数料とは
画像引用元:MNP転出・解約に関するご注意事項 | スマートフォン・携帯電話 | ソフトバンク
MNP転出手数料とは、MNPを使って他社に乗り換えるときに発生するお金のことで、3,000円(税抜)を請求されます。
これはソフトバンクだけの制度ではありません。ドコモやauでも、他社へMNPするときにはMNP転出手数料が発生します。
しかし、以前からこの3,000円という金額設定には、「根拠が乏しい」という指摘がありました。
そもそもなぜ手数料を取るのか、正当な理由もほとんど説明されないまま、今日まで来ていたのです。
2021年4月から全面禁止か
政府・総務省は、このMNP転出手数料が単にユーザーを乗り換えさせないための「縛り」になっていることを問題視しています。
そこで総務省は2020年11月2日に、「携帯電話・PHS番号ポータビリティ(MNP)の実施に関するガイドライン改正案」を公表。
そこには2021年4月1日からMNP転出手数料を禁止する内容が記載されています。
なぜソフトバンクはMNP転出手数料を無料に?
画像引用元:「ソフトバンク銀座」がリニューアルオープン! | ソフトバンクNOW | ニュース | 企業・IR | ソフトバンク
ソフトバンクがMNP転出手数料を無料にする直接的な理由は、やはり「政府・総務省には従うしかない」という判断でしょう。
より安い良いサービスでユーザーに喜んでもらいたいという気持ちもあるかもしれません。
現在、政府・総務省は携帯電話料金の値下げに向けた、中長期的な取り組みに動いています。
MNP転出手数料の無料化は、その一環です。
武田良太総務大臣が「アクションプラン」発表
2020年10月27日、総務省が「モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクションプラン」(以下、アクションプラン)を発表しました。
その方針をまとめると、以下のようになります。
- NTTドコモ・KDDI・ソフトバンクの3社(MNO)が格安SIM事業者(MVNO)に通信回線を貸し出す際の使用料の引き下げ
- SIMカードはそのままで通信事業者を変更できる「eSIM」の導入
- MNP転出手数料の撤廃
- SIMロック解除の促進
これらがすべて実現した場合、格安SIMの料金がさらに安くなる上に、ユーザーは無料で乗り換えができるようになります。
しかし、それでは料金の高いドコモ・au・ソフトバンクからユーザーがいなくなります。
ですから大手キャリア3社も必然的に、格安SIMに負けないよう値下げする流れになると思われます。
そしてその結果、日本の携帯電話業界全体の料金が下がる、ということを政府・総務省は期待しています。
補足:日本のキャリア(MNO)とサービスブランド
日本のキャリア(MNO)とサービスブランドは以下の表の通りです。
キャリア(社名) | サービスブランド |
---|---|
株式会社NTTドコモ | docomo (ahamo) |
KDDI株式会社 | au povo UQ mobile |
ソフトバンク株式会社 | SoftBank LINEMO Y!mobile |
楽天モバイル株式会社 | 楽天モバイル |
3大キャリアというとドコモ・au・ソフトバンクと言いますが、特に「au」は社名ではありません。
また「UQモバイル」と「ワイモバイル」も大手キャリアのサービスであることに注意してください。
改革の本気度は高い
菅義偉内閣総理大臣は、官房長官だった時代から、日本のキャリアは諸外国と比べて料金が高いことを指摘していました。
その上で「日本の携帯電話料金は4割下げられる」と発言し、完全分離プランの義務化など、一定の成果を上げました。
現在は大手3社に対して電波利用料の値上げも示唆するなど、「大手3社との全面対決」も辞さない姿勢にも見えます。
ソフトバンクはドコモ・auに先駆けて従う
こうした背景の下、ソフトバンクはMNP転出手数料の無料化を決定しました。
ドコモ・auではまだ決定はされていないので、大手3社としてはもっとも迅速に政府・総務省の方針に従ったことになります。
ソフトバンクユーザーにとっては嬉しいことですし、政府・総務省からは「ソフトバンクは優等生」という印象を得たのではないでしょうか。
楽天モバイルはすでに無料
画像引用元:ZERO宣言 | 楽天モバイル
楽天モバイルでは2020年11月4日から、契約事務手数料とMNP転出手数料が無料になっています。
ソフトバンクの無料化が実現すれば、日本の4キャリアのうち、半分は無料ということになります。
ドコモ・auもこれに続くのでしょうか。今後の動向に注目です。
私たちのスマホライフにはどんな影響がある?
ここまで、ソフトバンクのMNP転出手数料の無料化と、その背景にある政府・総務省の改革について説明してきました。
ドコモとauもMNP転出手数料を無料化しなければ、悪目立ちしてしまいそうです。
「アクションプラン」はこれからスムーズに進んでいくのではないでしょうか。
最後に、こういった一連の流れが、私たち一般のユーザー(国民)にどのような影響があるのかを解説・予想します。
携帯電話事業者を選びやすくなる
MNP転出手数料が無料になれば、携帯電話事業者を乗り換えしやすくなります。
これまで他社に乗り換えたほうが安くなることを理解ながらも、MNP転出手数料が「縛り」となって踏み切れなかった方もいたことでしょう。
無料になった後なら、MNP転出手数料を気にすることなく、自由に携帯電話事業者を選べるようになります。
携帯電話料金が安くなる
MNP転出手数料という「縛り」がなくなれば、乗り換えするユーザーが増えることは間違いないでしょう。
これまで大手3社は、ユーザーを縛ることで、あまり努力しなくても利益を上げられるという面が少なからずありました。
しかし縛りから開放されたユーザーは、これから「どの会社の料金が安いかな?」「今の会社は高いから乗り換えよう」と本気で考えるようになるはずです。
そうなれば自然と競争が生まれ、各社が他社のユーザーを奪うため、または他社に奪われないために、料金の値下げ合戦を繰り広げる可能性が出てきます。
格安SIMも安くなる
総務省が発表した「アクションプラン」には、NTTドコモ・KDDI・ソフトバンクの3社(MNO)が格安SIM事業者(MVNO)に通信回線を貸し出す際の使用料の引き下げも掲げられています。
格安SIM(MVNO)は、大手3社(MNO)にお金を払って回線を借りて運営されています。
回線を借りる費用が値下げされれば、格安SIMは今よりさらに安い価格でサービスを提供できるようになります。
現在すでに、3GBを1,500円以下で問題なく使える格安SIMも珍しくありません。
個人的にはもう十分安いと感じているのですが、これがもっと安くなるなら大歓迎ですよね。
また、格安SIMの料金プランが値下げされれば、それに負けないために、大手3社も値下げせざるを得ないでしょう。
現在の4キャリアの料金プラン
今現在、4キャリアの料金プランはどうなっているのか、これから主流になる5Gプランを簡単にまとめました。
項目 | プラン名 | データ量 | 月額 |
---|---|---|---|
ドコモ | 5Gギガライト | 0~1GB 1~3GB 3~5GB 5~7GB | 3,150円 4,150円 5,150円 6,150円 |
5Gギガホ | 100GB | 7,650円 | |
au | ピタットプラン 5G | 0~1GB 1~4GB 4~7GB | 3,150円 4,650円 6,150円 |
データMAX 5G | 無制限 | 8,650円 | |
ソフトバンク | ミニフィットプラン | 0~1GB 1~2GB 3~5GB | 4,980円 6,980円 8,480円 |
メリハリプラン | 50GB | 8,480円 | |
楽天モバイル | Rakuten UN-LIMIT V | 無制限 | 2,980円 |
いずれも条件付きの割引は考慮しておらず、元の料金(税抜)のみの記載です。
公正な競争が政府・総務省の狙い通りに進めば、全社が最低でも楽天モバイル並の料金になるかもしれません。
実際はどうなっていくのか要注目です。
ソフトバンクは5G無制限プランの追加を予定
なおソフトバンクは、新たに5G無制限プランを発表する準備があるようです。
「3日で10GBまで」のような条件付きの無制限なのか、固定回線の代わりになるような本当の無制限なのか、非常に楽しみです。
料金の値下げはワイモバイルで
画像引用元:新料金プラン登場 シンプル20|Y!mobile – 格安SIM・スマホはワイモバイルで
ソフトバンクは料金の値下げはワイモバイルで行うとしています。
確かにワイモバイルもソフトバンク株式会社が運営するサービスブランドですから、理屈としてはありでしょう(総務省や国民がどう受け取るかは別として)。
またKDDI株式会社も、auでは値下げせずにUQモバイルで値下げを行うと予想されています。
現在のワイモバイルとUQモバイルの料金プランは以下の通りです。
項目 | プラン名 | データ量 | 月額 |
---|---|---|---|
ワイモバイル | S | 3GB | 2,680円 |
M | 10GB | 3,680円 | |
R | 14GB | 4,680円 | |
UQモバイル | S | 3GB | 1,980円 |
R | 10GB | 2,980円 |
さらにワイモバイルとUQモバイルは、どちらも20GBの料金プランを新設することも発表しています。
ワイモバイルは12月下旬から、UQモバイルは2021年2月以降に新設とのことで、料金は以下の予定です。
- ワイモバイル:4,480円
- UQモバイル:3,980円
MNP転出手数料の無料化は改革の一環
以上、ソフトバンクがMNP転出手数料を撤廃することや、それが意味する今後の携帯電話業界の動きについて解説しました。
- 無料化は政府・総務省の方針
- 携帯電話業界の公正な競争の促進が目的
- ソフトバンクはドコモ・auより先に従う
- 携帯電話料金の値下げに繋がると期待される
今回のソフトバンクのMNP転出手数料の無料化は、政府・総務省による携帯電話業界の健全化と公正な競争を促すための方針に従ったものです。
これはユーザーにとっては嬉しく、ソフトバンクにとっては「損」な決定と言えるでしょう。
またソフトバンクは政府・総務省の方針にドコモ・auより先に従いました。
ドコモ・auも従わなければ悪目立ちすることになるので、遠くないうちにMNP手数料の無料化が発表されるのではないでしょうか。
政府・総務省のアクションプランがスムーズに進めば、各社の競争が促進されて携帯電話料金が値下げされるなど、ユーザーにとっては利益につながります。
今後も大手3社の動向には要注目です。